2020.08.31 【ソリューションプロバイダ特集】市場動向 AI

東芝のAIで人の混雑状況を可視化した「密度マップ」

疾病リスクから密集回避まで活躍する舞台広がる

 AI(人工知能)を業務の高度化や効率化に生かす取り組みで、ソリューションプロバイダ各社が知恵を絞っている。各社からAIで疾病の発症リスクを予測するサービスが相次ぎ登場したほか、製造業の品質管理に生かす動きも具体化した。新型コロナウイルスを機に経済活動や社会生活の常識が一変する中、AIが活躍する舞台が広がりそうだ。

 東芝と東芝デジタルソリューションズは、健康診断結果から生活習慣病が発症するリスクを6年先まで予測するAIサービスの提供を始めた。SOMPOひまわり生命保険が7月に提供を始めた生活習慣の改善支援サービスの機能の一つとして採用。スマートフォンで診断結果を撮影するだけで発症リスクを予測できるようにした。

 NECソリューションイノベータは、疾病の発症リスクを予測し健康改善につなげるサービスなどを手がける全額出資の新会社「フォーネスライフ」を設立。タンパク質の解析技術を開発する米ベンチャーの技術にNECグループのAI・解析技術を組み合わせた。心血管や脳血管疾患の再発リスクを予測して改善策を提案するサービスを開発し、提携する医療機関を通じて10月から提供する。

 AIは、製造業を変革する場面でも存在感を発揮。東芝デジタルソリューションズは、目視で判断していた金属組織の結晶粒度をAIで自動判定するソリューションを用意した。鉄鋼業のほか、自動車や航空機部品の製造業向けに提案。厳格化する品質管理や熟練検査員が不足する問題の解決を支援する。

 コロナ対策でAIを駆使する動きも活発化。東芝は製品化を視野に、駅などの公共施設や商業施設から集めたカメラ画像に映る群集の人数を一般的なPCで高速で計測できるようにする「画像解析AI」を開発した。

 NTTコミュニケーションズもエイベックスグループと連携して施設内の混雑度の判定にAIを役立てる実験を始めており、「ウィズコロナ」時代を乗り切るための技術としても注目を集めそうだ。