2020.08.31 【ソリューションプロバイダ特集】市場動向 セキュリティ

「ゼロトラスト」で企業の対策支援強化 

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けてリモートワークが急速に広がる中、ソリューションプロバイダ各社はセキュリティ対策でも存在感を発揮している。情報資産にアクセスする全てを疑う「ゼロトラスト」と呼ぶ新しい考え方で企業のセキュリティ対策の支援を強化する動きも広がりつつある。

 日立システムズと伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、セキュリティ分野で協業すると発表した。得意技術やノウハウで、顧客企業のセキュリティ対策を強力に後押し。今後3年間で、両社合計のセキュリティ事業を400億円規模に拡大することを目指す。

 日立システムズは、セキュリティ監視やぜい弱性診断のほか、マルウエア(悪意のあるプログラム)の解析などで実績を持つ。CTCは、セキュリティデバイスの導入・保守運用のほか、セキュリティを脅かすインシデント(事故)発生時の初動対応に強みがある。両社は、顧客のセキュリティ状況を遠隔から監視する「SOC(セキュリティ・オペレーション・センター)」の運用を支える日立システムズグループのプラットフォームを共同利用。サービスの相互利用や人材育成でも連携していく。

 一方、産業やインフラのIoT化に伴うサイバー攻撃のリスクも高まる傾向にある。そうした中、東芝デジタルソリューションズは、工場などの産業制御設備の各機器を可視化し、セキュリティの脅威を分析するサービスに力を入れている。

 富士キメラ総研は、特定の組織が持つ重要情報を狙う「標的型攻撃」や身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」などの手口の巧妙化と複雑化が進む状況を踏まえて、「法人向けネットワークセキュリティ製品・サービスの国内市場」が年々拡大すると予測した。

 防御が手薄な組織を突破口に、大企業への侵入を試みる「サプライチェーン攻撃」の脅威も増す中、セキュリティ関連各社が拡充する製品・サービスが新たな需要を創出。23年度には6617億円に達する見通しだ。