2020.09.30 【電波新聞70周年特集】コンピュータソフトウェア協会・荻原紀男会長公正な立場から業界の羅針盤に

荻原 会長

 電波新聞社が70年の歴史を刻んだ功績をたたえ、心よりお祝い申し上げます。その間にエレクトロニクス産業は通信技術の高度化と相まって発展し、ITやデジタルトランスフォーメーション(DX)という大きな流れができてきました。取材範囲を拡大してきたご尽力に敬意を表します。

 1986年に設立された弊会はパッケージソフトの健全な流通や著作権の保護など、製造と販売の垣根を超えてソフトウエア産業を育てることに努めてきました。日本経済の国際競争力を高めるという視点も重視し、会員企業の要望を吸い上げて政策提言としてまとめてきました。

 業務アプリケーションなどの多様なIT資産がクラウド上でやりとりされる時代が到来し、幅広い視野に基づく提言が求められてきました。そこで14年の会長への就任を機に、シンクタンク機能を強化いたしました。

 ソフトウエア産業は無限の可能性を秘め、健康管理に役立つデータをデバイスで瞬時に取得できるようにするなど、アイデアが次々と生まれています。

 産業界でも、有益なデータを共有し新たなサービスを共創する展開に期待が集まっています。鍵を握るのが、外部のシステムとの連携に必要な「API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)」で、その開放を促す必要性も国に提唱しました。世界基準にのっとってソフトウエアを開発し、共通の形式で輸出を促すことも目指しています。

 新型コロナウイルスの感染拡大を機にソフトウエアは一段と高度化する方向にありますが、人間の判断力とソフトウエアは常に対等な関係にあるべきです。そうした姿勢で、会員企業のビジネスチャンス拡大にも努めていきます。

 ニューノーマル(新しい日常)時代の到来を機に、全てを新しい仕組みに移行することが最善なのでしょうか。貴社におかれましては、国の在り方も含めて「正しい方向性」について見極めていただき、これからも公正な立場から報道する新聞であり続けてほしいと願っております。