2020.10.01 【自動車用部品および関連技術特集】中型バスの自動運転走行実証実験茨城交通、住友電工、PSSI、KDDIなど
2020年度の走行予定ルート
茨城交通、みちのりホールディングス、日立市、茨城県、住友電気工業、パイオニアスマートセンシングイノベーションズ(PSSI)、小糸製作所、コイト電工、KDDI、KDDI総合研究所は、2020年10月上旬から21年3月上旬(実証実験準備期間を含む)のうち13週間で中型バスを用いた自動運転走行実証実験を予定している。
同事業は、経済産業省・国土交通省の事業を受託した産業技術総合研究所(産総研)から19年度に「中型自動運転バスによる実証実験」を実施するバス運行事業者に選定され、実施するもの。今回は、18年に2週間実施した「ラストマイル自動走行の実証評価(日立市)」に続く2回目の走行実証実験で、自動運転車両と通信を行う路側センサーと遠隔監視装置の検証を行う。
ひたちBRTは19年3月に第二期の延伸工事を完了し、道の駅日立おさかなセンターとJR常磐線常陸多賀駅の間を結ぶ専用道区間(約6キロメートル)を含む路線長が約9キロメートルの路線になっており、年間約53万人が利用。
今回の実証実験では、前回の約3.2キロメートルから大幅に延伸した新たな路線において、通常の路線バスのダイヤに追加して自動運転バスのダイヤを設定し運行する。一般の利用者が広く利用する環境を作ることで、特別な移動手段ではなく通常の移動手段として、より多くの利用者に乗車してもらい、22年以降の本格的な商用運行に向けた課題抽出を進めることを目指す。
<実証実験のポイント>
本格商用実装に向けた取り組みとして、高い安全性と多様な環境下で安定した運行実現へ、次の2点の技術を導入する。
◇路側センサーによる自動運転車両との協調:専用道区間や一般道区間において、自動運転車両から見通しの悪い場所に、各種光学センサーや電波センサーを活用した路側センサーを敷設し、自動運転車両と通信することで、自動運転車両の死角を減らす。これら路側センサーと前回実証で検証した信号協調システムが連携することで、自動運転バスが安全に走行できる走行環境の構築とスムーズな定時走行を目指す。これら路側センサーの設置は、住友電工、PSSI、小糸製作所、コイト電工の協力のもと実施する。
◇遠隔監視装置:上記路側センサーや信号協調システムとの連携を含めた自動運転バスの円滑な運行を支援するためKDDI、KDDI総合研究所から遠隔監視装置と遠隔に情報を送信するための通信環境を提供する。遠隔監視装置では、自動運転バスの走行状況をカメラ映像や各種状態情報で確認することに加えて、車外に設置する路側センサーの稼働状態もモニタリングすることで、将来、自動運転バスが運行する際の運行管理の在り方についても検証を進める。