2020.10.01 【自動車用部品および関連技術特集】自動車ビッグデータを活用富士通が車載カメラ映像解析プラットフォーム

 富士通は、コネクテッドカーから収集される自動車ビッグデータを活用してサービスを提供する事業者向けに、車載カメラ映像解析プラットフォーム「FUJITSU Future Mobility Accelerator Digital Twin Analyzer」(デジタルツインアナライザ)を販売開始した。

 デジタルツインアナライザは、富士通研究所が開発した、映像解析を行うAI画像認識技術と、自車および周囲物の高精度三次元位置推定技術により、車載カメラ映像を解析し、価値あるデータに変換することで、顧客のデジタルトランスフォーメーションを支援する。同製品により、刻々と変化し続ける、歩行者や車両・道路・建物といった実世界空間の三次元位置・軌跡情報を高精度に推定することができるため、車両状態や交通状況のタイムリーな分析、予測が可能となる。また、解析ロジックを変更・追加することで地物検知や事故状況解析といったユースケースに適用できるため、様々な業種サービスに活用できる。

 21年2月から、北米や欧州地域も含めたグローバル展開を予定している。

背  景

 近い将来、コネクテッドカーが爆発的に増加し、走るセンサーである車両から集まったCANデータやドライブレコーダ映像など様々なデータを活用することで、自動車の開発のほか、交通監視や地図、保険といった様々なモビリティサービスへ活用範囲の広がりを見せると期待されている。

 その中で、同社は、モビリティデジタルツイン実現に向け、19年10月に、実世界の車両データや天気情報などの様々なデータをリアルタイムにデジタル空間上に再現・分析することができるストリームデータ処理基盤「Digital Twin Utilizer」の提供を開始した。そして、第2弾として、車載カメラ映像を活用して自車の周囲状況を高精度に把握することで、デジタル空間上に再現できる「デジタルツインアナライザ」を提供し、自動車ビッグデータを活用した様々なモビリティサービスの実現を支援する。

「デジタルツインアナライザ」の特徴

 「デジタルツインアナライザ」は、車載カメラ映像を解析するAI画像認識技術と、自車および周囲物の高精度三次元位置推定技術を実装した車載カメラ映像解析プラットフォーム。

 同社のAI画像認識技術は、画像から車両や白線、信号機といったオブジェクトを認識するだけでなく、乗用車やバス、トラックといった車両の種別、横断歩道やセンターラインといった白線の種別などの詳細属性まで認識できる。また、例えば信号機などその時々での変化があるオブジェクトについては、オブジェクトをトラッキングすることで、色などの変化を検知・記録することが可能。

 また、高精度三次元位置推定技術は、AI画像認識技術で認識したオブジェクトおよび自車の三次元位置を正確に把握することができ、車載カメラの設置条件や種類によらず、市販のドライブレコーダなどでも高精度に推定することが可能。

 さらに、他のAI画像認識エンジンや、データを新たな価値に変換するロジックを容易に取り換えることができるため、顧客のニーズに合わせたサービスの提供が可能だ。