2020.10.21 CEATEC キーノートスピーチ遠藤信博・NEC会長

サイバー空間を人間社会の持続性のための高い価値創造の場に

 COVID-19により大きな影響を受けたが100年前に流行したスペイン風邪の時とは違い今はICTがある。ICTはコンピューティングパワーとネットワーク、ソフトの三つにより、リアルタイム、ダイナミック、リモートを実現する。

 この25年でコンピューティングパワーは245万倍に、モバイルネットワークの容量は100万倍になった。AI(人工知能)も進化し現在は生体認証などでも高い認識率を誇る。さらに5Gにより人と人からモノとモノをつなげられるようになっている。

 ソサエティ5.0はデータ社会だ。全てのデータを集め処理できるため従来の情報社会で実現できなかった全体最適ができる。これにはサイバー空間での最適解を実世界で実現することが重要になる。サイバー空間は人間が作った第2のボーダーレス空間になるためコレクティブディフェンス(集団的防衛)により安全性を確保することが必要だ。

 コロナ禍では分散して価値が作れることを確認した。分散では個の主体性が重要で、ここを生かす環境が必要になる。人間社会と企業活動は持続性と継続性の観点から表裏一体で、企業による人間社会の長期ビジョンの提示が不可欠。これからは全体最適を意識して価値をつくり進化を止めない寛容性が重要で、企業は長期ビジョンを持ち強い意志で価値を作ることが求められる。