2020.10.28 【ニューノーマル時代のCEATEC】〈3〉Co-Creation Parkスタートアップなど技術訴求

車や人、交通標識などを検出し自動運転技術の向上に貢献する「SVNet」

 スタートアップ企業や大学が集うCEATEC 2020 ONLINEの展示エリアCo-Creation Parkでは、医療・ヘルスケア分野をはじめ、自動車、製造、ロボット・ドローン、AI(人工知能)、教育分野、また働き方改革や生物多様性、宇宙利用、スマート社会、SDGsなどの幅広いテーマで、新時代を開く成長性を秘めた多彩なソリューションが提案された。

 モビリティ分野では、自動車関連の技術を持つスタートアップ企業や大学の研究機関などがサービスや製品を紹介した。

 物体検知技術をコア技術として持つストラドビジョンは、信頼性の高い自動運転システムを実現するための物体検知ソフトウエア「SVNet」を開発した。

 SVNetToolを使用してデータアノテーション(画像タグ付け)を自動化することにより、作業人員を約97%削減できる。作業スピードも約8倍に高速化できるという。

 ディープラーニングで、カメラによる車内・車外の様々な物体認識を可能にすることも紹介。同社では「高齢化社会を迎える日本において、自動運転を実現するメリットは非常に高い。社会貢献に努めたい」とする。

 電気で光る塗料を扱うワークスは、電源を供給することによって発光する「LumiLor(ルミロール)」を披露。塗膜の厚さは約0.1ミリメートルの4層のコーティングで車体など3D曲面への塗布も可能だ。

 素材を選ばず、様々な用途に使用でき「自動車関係、建築、アミューズメント、公共など多様な分野に可能性がある」(同社)とし、安全の面でも、自転車をはじめ、ランドセル、電車の踏切、ガードレール、靴、カバンなどに使用できると見ている。

 総務省は、戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)の取り組みについて紹介。

 この中で、名古屋大学大学院情報学研究科の倉地亮特任准教授は車載制御ネットワークに対する集中型セキュリティ監視システムの研究開発を紹介。

 電子制御ユニット全てにセキュリティ機能を搭載する手法ではなく、情報が集中する交換装置のみに監視機能を搭載し、悪意ある機器が発するメッセージを無効化する防御方式を開発。一般のコンピュータシステムで使用されるセキュリティ機能評価手法が、車載システムに適用可能であることを、モデル、実機で確認した。

 倉地准教授は「開発した手法を取り入れることで、電子制御ユニット全てにセキュリティ機能を搭載する場合に比べ、開発期間を1-3年短くすることができる。2025年から30年の間での搭載を目指したい」と話している。

 AI分野では、「Empath」(エンパス)が、コールセンター向けAI技術を紹介した。同社では、音声による感情解析AI技術「Empath」を開発。顧客からのクレーム対応やオペレータのストレス対策に資するソリューションとして事業化を加速させている。

 同社では、コロナ禍で拡大するリモートワーク環境下で「遠隔会議にEmpathを活用し、参加者のメンタル評価につなげるといったことにも応用を広げていきたい」としている。

 同ゾーンでは、多岐にわたるスタートアップ企業の独自技術や大学の研究成果が披露された。社会課題の解決につながる新たなビジネス創出に期待がかかる。(つづく)