2020.10.28 【Japan IT Week秋/通信・放送Week特集】オンライン展示会併用で開催

昨年のJapan IT Weekでは活発な商談会が行われた

 国内最大規模のIT展示会「Japan IT Week秋」と、通信と放送の展示会「通信・放送Week」(いずれも主催はリードエグジビションジャパン)がきょう28日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開幕する。今年は新型コロナウイルス感染症拡大に伴い大型展示会が軒並み中止・延期になる中、昨年まで別会期で開催していた二つの展示会の会期を合わせ、オンライン展示会を併用して開催することになった。会場では感染予防対策を万全に行い、安心して見て回れるようにしているという。さらに「AI・人工知能EXPO」を初めて開催。3展示会合計で1500社が出展する。

Japan IT Week秋の概要

 新型コロナにより今年は展示会の延期や中止が相次いでおり、開催される展示会もオンライン開催に切り替えるところが目立っている。そうした中で主催者のリードは、緊急事態宣言解除後から実際の展示会の開催について検討し、9月以降は感染対策を実施した上で、東京ビッグサイトなどで展示会を再開し始めた。

 Japan IT Weekは例年、春と秋に10以上の展示会を併設して開かれ、春は東京ビッグサイト、秋は幕張メッセという流れだった。今年は春の会期が緊急事態宣言発令時に当たったため開催を中止、秋に統合する形になった。今回のJapan IT Week秋は11回目となり、11展示会を併設、950社が出展する。

 この数年はクラウドやAI(人工知能)、IoTといった最新のデジタル技術を活用して新たな価値を見いだしていくデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)に取り組む動きが活発になっている。11の展示会では、様々な業種や業態でDXを実現していくためのソリューションがテーマごとに展示される。展示会ごとの特徴を見ていきたい。

AI・業務自動化展

 今回4回目となり、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、チャットボットなど、業務を自動化する製品やサービスが展示される。定型業務の自動化にRPAを、各種問い合わせなどにチャットボットを導入するケースが増えてきた。展示会では、様々な課題を解決するための提案も行われる。

IoT&5Gソリューション展(旧IoT/M2M展)

 今年で6回目を迎え、遠隔監視や予防保全などセンサー技術を使った監視の仕組み、高速移動通信の5Gを使ったソリューションが提案される。

 スマート工場や、電気・ガス・水道などの次世代社会インフラの実現にIoTは欠かせない。さらに5Gによって通信環境が大きく変わり、IoTの導入の幅も広がると見られている。展示会では最新のIoTの事例なども紹介される。

クラウド業務改革EXPO(旧クラウドコンピューティングEXPO/モバイル活用展)

 クラウドが当たり前のように使われる今、11回目を迎える同展では情報システムの基盤となりつつあるクラウドを軸に様々な業務システムを提案する。基幹業務システムや電子決裁など業務改革とペーパーレス化を実現するソリューションや、テレワークなどを活用した働き方改革を実践するための提案も行われる予定だ。

Web&デジタルマーケティングEXPO

 マーケティング部門に焦点を当てたソリューション群が一堂に会する同展示会は今年で10回目。マーケティングオートメーションなど、マーケティング活動を効率化して効果を最大化するソリューションのほか、AIを活用したツールなども用意。効果を上げる広告展開などの提案も行われる。

情報セキュリティEXPO

 10回目を迎えるこの展示会には情報セキュリティや標的型攻撃対策に適した製品やサービスが集まっている。昨今はサイバー攻撃が巧妙化・高度化しており、セキュリティ対策が喫緊の課題になっている。半面、どこから手をつけたら良いのか分からないという企業も多い。展示会では最新のセキュリティ対策を指南する。

データセンター&ストレージEXPO

 DX時代には大量のデジタルデータが日々流通するようになる。これまでも情報管理の必要性は叫ばれてきたが、データ量が増えビッグデータの管理が必要になる中ではデータを蓄積するストレージ(外部記憶装置)システムの構築が不可欠だ。

 ストレージもディスクやSSD、テープなど様々。最近はクラウドストレージの利用も拡大している。この展示会では情報管理を効果的に行うストレージシステムの提案に加え、データセンターを構築する上で必要となるソリューションなども展示される。

セールス自動化・CRM EXPO

 営業部門にとって顧客情報の管理や営業支援の仕組みづくりは急務といえる。9回目を数える今回はSFA(営業支援システム)やCRM(顧客情報管理)システムなど、営業の効率化を実現する製品やサービスが一堂に会している。

 デジタル化が進み、顧客の動き方が多様化する中では顧客に合わせた営業提案などが重要になってくる。従来のような営業活動では対応できなくなっているため、展示会では最新の営業や顧客管理の仕組みで売上げアップを狙う施策などを提案している。

次世代EC&店舗EXPO(旧通販ソリューション展/店舗ITソリューション展)

 8回目を迎えた今回は通販支援や店舗運営、集客支援などのサービスに加え、インターネットと実店舗を連携したサービスなどを提案する。実店舗とバーチャル店舗の融合などO2O(オンラインtoオフライン)への取り組みが増える中、双方を一体化して考えていく必要がある。昨年まで通販と店舗ITを別展示会で展開していたが、今回2展示会を融合し双方の視点で提案を行う。

組込み/エッジコンピューティング展(旧組込みシステム開発技術展)

 デジタルの時代になり、今まで以上に組込みシステムが重要な位置付けになってきた。自動車や医療、FA(ファクトリーオートメーション)機器、家電などにAIが組み込まれ、自動化が進んでいる。クラウドが重要になる一方、リアルタイム処理を実現するにはエッジ側(端末側)の処理が重要だ。

 展示会ではCPU(中央演算処理装置)やエッジコンピューティング、ボードコンピュータなど、最新の開発ツールが出品されている。

ソフトウェア&アプリ開発展

 クラウド時代を迎えシステム開発の重要性が増している。2回目となる同展示会ではソフトやアプリケーション開発から保守、運用に向けた製品、技術が展示される。

システム運用自動化展

 クラウド時代になるとシステム環境は複雑になる。仮想化技術を使ったシステム構築が一般的になり、運用も煩雑になっている。初開催となるこの展示会には、効率よくシステムを運用するためのツールやソリューションがそろう。

通信・放送Weekの概要

昨年の通信・放送Week開会式

 同時開催する通信・放送Weekには5G/IoT、光通信、4K・8K映像技術、映像伝送などの最新技術が集まる。

 昨年までは7月に開催されていたが、新型コロナの影響により今年は10月に移行し、技術的に親和性の高いJapan IT Weekと併催することになった。

 展示会は四つで構成され、最新の映像撮影から伝送までの技術・サービスを確認できる。関連する企業約300社が出展しており、会場でしか体験できない最新映像などの実演が見られる。

 4展示会の詳細を紹介する。

4K・8K映像技術展

 この展示会では高精細4Kや超高精細8Kカメラをはじめ、レンズ技術、映像編集システムなどを展示。最新の高画質映像の撮影機材などを取りそろえ、新たな映像の世界を披露している。

映像伝送EXPO

 ここには最新のIP伝送装置など高画質映像を効率よく伝送するための技術や製品、サービスが一堂に会している。クラウドサービスや動画配信といったサービスの今を知ることもできる。

光通信技術展

 光通信システムや光ファイバなど、大規模データの伝送を確実に行うための技術や製品、サービスを展示。ケーブルテレビ技術ゾーンでは、CATVの伝送といった最新の技術やインターネットサービスなどの各種サービスを紹介している。

5G/IoT通信展

 今年から国内でも商用サービスが始まった第5世代高速通信規格5G。ここでは5Gの通信システムをはじめ、5G時代に必要となるネットワークインフラが紹介される。LPWA(低消費電力広域無線通信)やローカル5Gゾーンを設け、利用シーンの提案なども行う。 

 各展示会ともオンラインでも来場・商談が可能。バーチャルブースにオンラインで訪問し、個別の相談や商談をビデオ通話で行えるほか、チャット機能により気軽に質問や相談もできる。資料のダウンロードもワンクリックで可能だ。サービスの利用には事前登録が必要になる。