2020.11.02 【NHK技研90周年特集】 NHK 前田晃伸会長 新しい〝NHKらしさの追求〟に向けて
〝世の中に役立つ〟視点を大切に
放送と映像文化の向上へ
NHK放送技術研究所(技研)は、今年で開所90周年を迎えました。日頃より技研の研究活動にご理解とご協力を頂き、感謝申し上げます。
NHKでは、今年4月から、総合テレビとEテレの番組をインターネットでも視聴できる常時同時配信・見逃し番組配信サービス「NHKプラス」をスタートしました。放送中の番組や見逃してしまった番組をスマートフォンやPC、タブレットで「いつでも、どこでも、何度でも」ご覧いただけるサービスです。利用登録の申請は9月末までに100万件を超え、ご利用いただいている多くの方々からは高い評価を頂いています。今後も、視聴者の皆さまのニーズやご要望を踏まえながら、より一層、便利にご利用いただけるサービスを目指してまいります。
また12月1日には、「BS4K」と「BS8K」の放送開始から2年となります。この二つのチャンネルでは、4K8Kならではの超高精細な映像により、臨場感やリアリティあふれる映像体験が楽しめる番組をお届けしています。一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)の発表によりますと、「新4K8K衛星放送」を視聴可能な機器の台数は約590万台となり、順調に推移していると承知しています。
来年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、より多くの方に4K8K放送でスペシャルな感動をお楽しみいただけるよう、関係する団体とも連携して一層の普及・推進に努めるとともに、引き続き魅力的なコンテンツをお届けしてまいります。
NHKでは現在、次期3か年経営計画の策定を進めています。世帯数の減少などによる受信料収入の減収局面や、多様な動画配信サービスの登場による視聴・利用環境の変化など、NHKを取り巻く環境は激しい変化を続けています。
次期経営計画では、こうした変化を踏まえつつ、信頼される「情報の社会的基盤」としての役割を将来にわたって果たし続けていくために、これからの時代に対応した新しい「NHKらしさの追求」に取り組む必要があると考えています。
放送と映像文化の向上へ
減収局面にあっても、視聴者・国民の皆さまが求める、多様で質の高い「NHKらしい」充実したコンテンツをお届けするとともに、コスト構造の改革を徹底して推進することで、「スリムで強靭なNHKへ」と生まれ変わらせたいと考えています。
技研では、NHKに求められている使命の一つである先導的な役割を果たすため、これまでも衛星放送やスーパーハイビジョン、緊急地震速報など、最先端の放送技術やサービスを研究して実用化してきました。冒頭にご紹介した「4K8K放送」も、技研での長年にわたる研究成果の積み重ねが、その実現に大きく寄与しています。
これからも技研では、次期経営計画で掲げた「新しいNHKらしさを追求する」という方針の下で、「世の中に役立つ」視点を大切にした研究・開発に取り組んでいき、その成果を視聴者の皆さまと社会に還元することで、放送と映像文化の向上に貢献してまいります。
今後も、NHK放送技術研究所の研究活動にご支援を頂きますよう、宜しくお願い申し上げます。