2020.11.13 日本アルミットのはんだ新技術新コンセプト製品順次投入、第1弾のスルーホールはんだ付け用やに入り糸はんだ発売

スルーホールはんだ付け用やに入り糸はんだ「DB1-RMA LFM-48」

 日本アルミットは、「ブーストアップ アルミットスタンダード」と名付けた新しい開発コンセプトのはんだ新製品を順次発売する。

 ブーストアップ アルミットスタンダードの第1弾として発売するのは、RMA・JIS-AA級のスルーホールはんだ付け用やに入り糸はんだ「DB1-RMA LFM-48」(フラックス名+合金名)。第2弾、第3弾と順次発売を予定している。

 車載部品などの実装現場では、機電一体などのデザイン変更や、リフロー後の酸化した基板でのコネクタの後付け時にスルーホールへのぬれ上がりが課題となっている。

 信頼性を重視する車載部品では、JISのAA級やRMAタイプのように高信頼性のやに入りはんだを使用するが、ぬれ性に課題がある。リフロー後の基板にコネクタなどを取り付けようとすると、スルーホールへのはんだが十分にぬれ上がらなかったり、スルーホールへ十分なぬれ性を確保して使用すると、はんだ付け時間が長くなったりする。

 新発売のDB1-RMAは、RMA・JIS-AA級の信頼性を保ちながら、「デュアルブースト」という新技術によって、スルーホールへの初期ぬれとスルーホール上がりを両立させることに成功した。

 「デュアルブースト技術」(図1)

 新技術のデュアルブーストは、2段階で活性するフラックス。ブースト1は初期ぬれを、ブースト2でスルーホールへのぬれ上がりを促進する。製品名はDual Boostの頭文字を取り「DB1-RMA」とした。新活性剤の開発により、JIS-AA級の少ないハロゲン含有量で2段階の活性を生み出すことが可能となった。高い信頼性を必要とする車載、産機向け基板のほか、コストや作業速度を必要とする一般民生向け基板のいずれにも対応する。

 従来のスルーホール用に開発されたやに入りはんだのフラックスは、活性力を持続させる目的で開発を進めてきた。しかし、スルーホールのぬれ上がりが不十分な事例や、はんだ付け時間が長い場合、フラックスの活性力が失われ、ブリッジと呼ばれる不良が発生する事例もあった。

 デュアルブーストは、ブースト1で速効性活性剤が働き、初期ぬれを促進。ブースト2でスルーホールのぬれ上がりを促進し、抗ブリッジ効果をもたらす。この技術により、熱容量の大きい基板やリフロー後の酸化した基板のスルーホールへのはんだ付け性が劇的に改善、さらには、はんだ付け時間の短縮にも成功にした。

 「濡れ比較試験」(図2)

 DB1-RMAは、こて式はんだ付け装置での引きはんだ作業の試験において、熱容量の大きい基板でもスルーホールへのぬれ上がりが良好であり、抗ブリッジ効果も顕著に認められた。

 また、こて式はんだ付け装置だけではなく、スリーブ方式のはんだ付け装置でも、スルーホールへのぬれ上がり改善が確認され、はんだ付け作業の時間短縮が可能との結果が得られた。

 同フラックスを使ったこて先食われを抑制した「DB1-RMA LFM-48M」も同時に販売開始する。15年間の実績がある同社のこて食われ合金「LFM-48M」は、はんだごて先の消耗を抑え、こて先を長持ちさせてコストダウンに貢献する。