2020.12.07 【SMD/基板内蔵部品特集】高密度実装技術の高度化で目覚ましい進化

アルミ電解コンデンサは電解液タイプ、ポリマー、ハイブリッドのいずれも小型、大容量化に向けた新製品開発に弾みがつく

チップ抵抗器の小型化、高機能化技術が進化するチップ抵抗器の小型化、高機能化技術が進化する

パワーインダクタは、メタル系、フェライト系ともに小型、低背で大電流対応の新製品開発が活発化するパワーインダクタは、メタル系、フェライト系ともに小型、低背で大電流対応の新製品開発が活発化する

 表面実装技術(SMT)の高度化を背景にチップ部品(SMD)の技術進化は目覚ましい。第5世代高速通信規格5G用スマートフォンおよびIoT端末、自動車のECUや各種モジュールにおける高密度実装化ニーズの高まりがSMDの小型化、高機能化に加速をつける。

 新型コロナウイルスの感染症が広がり、企業の事業活動が制限されてきたが、夏以降には製造業における活動が本格的に再開。この動きに伴い、各種電子機器、製造装置、自動車などの生産が活発化してきた。

 SMDをはじめとする電子部品全般の需要増加し、部品業界も活気を取り戻しつつある。業界の予想よりも動きは遅れているものの、5G用スマホの新機種が主要メーカーから相次いで発売。新型コロナウイルス感染症によって、テレワーク、学校教育のコンピュータ化が広がり、PCやタブレットの需要が増加。さらにゲーム機も巣ごもりによって売れ行きが好調だった。復旧が遅れていた自動車はxEV化、自動運転などのCASEの進化を伴いながら生産台数が増えてきた。

 部品メーカーの受注状況は、経済活動がほぼ停止していた3-5月を底に6月から徐々に需要が回復基調に転じ、8月以降には受注を取り戻した。

 現在では、生産が活況を取り戻し、一部では受注増に生産が追い付かない状況となって、絞っていた生産能力を新型コロナウイルスの影響以前の水準まで戻す動きが表面化。さらに自動車、5G関連の需要で新製品や高度技術製品は、生産体制を増強するメーカーも目立ち始めた。

製品別の動向

 積層セラミックコンデンサ(MLCC)は、車載向けに低損失、三端子、共振用、高耐熱、高電圧、大容量化に向けての開発が進展。長辺電極タイプ、金属キャップ端子、導電性接続端子タイプなど、車載用MLCCの製品ラインアップが拡充している。

 一方では、5G向けに超小型で大容量化に向けた動きが活発化している。0402サイズや0603サイズといった超小型品における大容量化技術が進展する。

 また、最小サイズの0201サイズでは0.1μFまで大容量化が進む。基板内蔵用では厚み0.064ミリメートルまで極薄化している。

 アルミ電解コンデンサは、電解液タイプに加えポリマータイプ、ハイブリッドタイプのラインアップが充実している。ポリマー系は、車載、5G基地局向けの需要に対応する。

 特にハイブリッドコンデンサは、低ESR、高信頼性の高耐電圧を実現する。新たに既存製チップタイプで80V程度まで高耐圧化を実現。しかも135度対応の高温度信頼性を確保。これによって、ECUなどでの採用が本格化してきた。また、150度対応の新製品が販売されるようになった。

 タンタルコンデンサは、タンタル粉末のCV積を大きくすることで、容量が飛躍的に拡大。小型化では、構造を一般的なモールド構造から下面電極構造にすることで薄型化。現在では厚み1ミリメートル内外まで薄型化技術が進展している。

 抵抗器は、自動車のCASEの進展を視野に新製品開発が展開されている。さらに5G用スマホ、IoT、AIなどとの融合による多方面への波及効果で新たな市場形成が期待されている。

 5G用スマホ向けは、0603サイズ、0402サイズの需要が伸びる見通しだ。電源回路では電流検出用途で低抵抗チップが用いられ、中でも金属板タイプの需要が伸びている。最小サイズは1005サイズ。

 さらにモジュールでは部品内蔵基板で小型化する動きも見られる。銅めっき接続方式の場合は銅めっき電極を形成した専用部品が必要で、チップ抵抗器では厚みが0.13ミリメートルまで極薄化。

 今後、IoTを取り巻く各種端末、モジュールの小型化がさらに進展する。次世代チップとして0201サイズの提案が始まった。

 車載向けでは、電源周辺部の回路向けに硫化に強く、硫化発生による抵抗値断線を防ぐために耐硫化チップ抵抗器が使用される。自動車用エンジンの制御回路のほか、各種ECUなどでは耐サージチップ抵抗器を搭載。

 電動パワーステアリングや電動ブレーキなど、様々な回路で利用されているモーターへの負担が大きくなっている。また、アクチュエータやバッテリ回路も多い。金属板抵抗体が製品ボディーを兼ねるパワー低抵抗チップ抵抗器の大電流、ハイパワー、低抵抗化技術が進展している。