2020.12.08 【ルームエアコン特集】清潔、快適機能が充実 暖房性能向上、寒冷地域も普及

空気質に敏感なユーザーが増え、清潔機能を強化したモデルに関心が集まる空気質に敏感なユーザーが増え、清潔機能を強化したモデルに関心が集まる

 ルームエアコンは、年末商戦でも〝暖房機〟としての提案が可能で、主力商品の一つとして販売店の取り組みにも力が入る。今年は空気質に敏感なユーザーも多く、清潔、快適機能が充実した新モデルの紹介も重要になっている。

 今年のエアコン商戦は、コロナ禍に影響されたものの、出荷台数は好調だ。市場ニーズにいち早く対応した機能・特徴を盛り込むなど、さらに進化した商品戦略がユーザーからも評価されている。

 在宅の機会が増えたことで、室内環境に高い関心を寄せるユーザーが増えている。省エネ・快適性の両立といった従来の提案から、今年は清潔、安心といった切り口での提案が重要となっている。

 各社から新製品の発売、発表が行われており、21年新モデルについて各社は快適暖房性能をはじめ、内部クリーン、除菌・脱臭機能搭載、さらには換気性能搭載に至るまで、室内の清潔性向上につながる特徴をふんだんに盛り込んだ。

 空気質や清潔に対する意識が高まっているユーザーに対して、クリーン性能を訴求することで、買い替えや買い増し需要の顕在化にもつながる。

 空気質への関心

 ニューノーマル時代のエアコン商品戦略として、各社が力を入れるのは快適性能の進化に加え、清潔・空気質向上に貢献する機能・特徴の強化だ。

 新型コロナウイルス感染症の猛威に備えるべく、ユーザーの間で清潔、空気質への意識がいつになく高まっていることが、その背景にある。

 ダイキン工業では、定期的に「現代人の空気感調査」を行っているが、最新(第26回)調査(n=1000)では、コロナ禍に伴い空気の重要性に対する意識は以前と比べてどのように変わったかを聞くと、「重要になった」と答えた人が63.3%に上った。

 屋外と屋内の空気ではどちらが心配か聞くと、「室内」と答えた人が69.9%と7割近くを占め、18年前の調査で42.9%だったことから、30ポイント近く高まったことになり、室内の空気質への関心が大きくなっている。

 空気質が気になる場所として、「飲食店」「病院」「交通機関」「自宅」などとなる。自宅での対策としては〝換気〟が有効だが、実施していると答えた人も約8割に達した。

 同社によると、コロナ禍の空気感は、4月の緊急事態宣言の1カ月以上前(2月下旬)から感じ始めており、小中高の一斉休校の要請などがあった時期とも重なっているという。

 コロナ禍の空気感は、今後「1年続く」(30.2%)、「2年続く」(21%)、「3年以上続く」(18%)と、長期化すると感じているユーザーも多く、ニューノーマル時代を迎え、空気質、清潔への関心は高止まりしそうだ。

 市場動向

 こうした意識が高まる中、ルームエアコンの需要は20年度大きく伸びている。夏場の猛暑や熱中症対策の必需品としての定着化、巣ごもり需要などから、上期(4-9月)の出荷実績が前年同期比1.8%増の642万4000台(日本冷凍空調工業会)と、上期としては過去最高の実績となった。

 テレワークの浸透で在宅時間が伸びる中で、室内環境への関心が高まったことが、買い替え需要や各部屋への普及を促進したと考えられる。

 エアコン暖房性能の向上で暖房機としての認知が進み、寒冷地域への普及が進んでいることも、需要を押し上げる要因とみられる。

 下期の需要がどうなるかはまだ不透明だが、前年同期より伸びるとみる向きも多く、通期980万台程度の需要も見込まれている。

 空気質に敏感なユーザーは、リビングだけにとどまらず、子ども部屋、寝室など個室への設置にも意欲的になる。現在、世帯普及台数は3.3台程度だが、今後さらに部屋別普及も進みそうだ。