2020.12.10 【ミリ波関連デバイス/センサー技術特集】センサー、車載など幅広い分野で搭載進む ミリ波対応デバイス、5G台頭で技術開発加速
6軸ワンパッケージ3D MEMS慣性力センサー
電子化が進展する自動車をはじめ、スマートフォン、ウエアラブル機器、民生機器、産業機器、住設関連機器、インフラ関連機器、ロボットなどで各種センサーの搭載が進んでいる。中でも自動車は、パワートレイン制御、車両制御、ボディ制御、情報通信などで1台あたりのセンサー搭載個数の増加が著しい。矢野経済研究所の調査によれば、ADAS/自動運転用センサーの世界市場(メーカー出荷金額ベース)は19年1兆3602億円となり、17年からの成長が続いた。20年の世界市場は新型コロナ感染症拡大が大きく影響し、年前半の世界の新車販売台数が大幅に減少。年後半からの回復基調ではカバーしきれず、前年比18.3%減の1兆112億円になると見込む。21年からはCASEをキーワードに再び成長軌道に入り、23年に2兆円を突破。25年には2兆4808億円にまで達すると予測している。
センサーは通信とともにそれら社会、世界を支える。センサー市場拡大に伴い、技術開発が一段と加速。高精度、高機能に応えた角速度、加速度、傾斜、気圧などのシリコンベースのセンサーとともに、ショックセンサー、アクチュエータなどのセラミックスベースのセンサーも順調に需要を伸ばしている。
これらセンサーで高シェアを維持する村田製作所も高精度、高機能のセンサー開発に注力する。10月にオンラインで開催された「CEATEC 2020 ONLINE」でも最新のセンサー技術、製品を紹介した。AD/ADAS向けに12月末に量産を開始する6軸ワンパッケージ3DMEMS慣性力センサー「SCHA600シリーズ」も取り上げた。独自のバルク型MEMS構造を採用し、優れたバイアス安定性、低ノイズレベル、高い耐振動性を実現。3軸の角速度と加速度をワンパッケージ化して自由な設置を可能にした。外形寸法18.77×8.5×4.5ミリメートル。
ウエハーを40マイクロメートル以上まで深掘りした3次元構造の大きなセンシング部を形成した6軸ワンパッケージ慣性力センサーだけで高速道路を時速80キロメートルで自律走行し、GPSを20秒間オン状態、10秒間オフ状態を繰り返した実証実験で、GPSオフでの自律走行でも高速道路で実質30センチメートル以内、路面状態のよくない公道でも50センチメートル以内の誤差で位置検出できることを確認。GNSS、カメラ、レーダー、LiDARなどの知覚センサーのデータと融合させた新しいAD、ADAS機能を提案している。ウエハーを100マイクロメートルまで深掘りした独自のバルク型MEMS構造で3次元センシング部を形成した6軸ワンパッケージ3DMEMS慣性力センサーも開発、製品化し、自動運転向けに19年からサンプル供給を始めている。
ミリ波対応デバイス
一方、5G通信の本格導入に向け高周波モジュールではミリ波対応デバイスの技術開発が加速している。自動車では衝突防止用で76GHzのミリ波レーダーが実用化されているが、5Gに向けた28GHz、39GHzのミリ波対応MMICやモジュールの開発、市場投入が進む。複数のアンテナを組み込む5Gスマホでは従来の信号線を導電体でカバーした同軸ケーブルを使うと広い面積を占有してしまうため、高周波多極コネクタの採用が進む。業界に先駆けて村田製作所は16年、18年に20GHzまで対応できる多極コネクタを開発、量産し、5Gスマホ向けのボードツーボード用の需要に対応。20年6月からは世界初の40GHzまで対応した多極コネクタの量産を開始した。独自の電極構成によりアンテナで受信した28G-40GHzの超高周波信号をメーン基板に直接伝送できる。