2020.12.23 エフ・エー電子がノンスリップ型伸線機など開発超極細金属線用「D3ULTUF-10DS」発売

極細線用ノンスリップ型伸線機

松永 部長松永 部長

 ノンスリップ型伸線機などの各種産業機械制御システムの設計・製造を手がけるエフ・エー電子(大阪市東淀川区、田島憲一社長)は創業20周年を迎えた。

 巻き出す・巻き取る装置の張力・速度制御システム専業メーカーとして誕生。伸線機をはじめ極細線加工や薄膜、多孔質のフィルムに欠かせない低張力制御を組み込んだ設備を設計・製造している。

 設定通りの速度・張力で、巻き出す・巻き取る作業を高精度な制御で実現。精密な制御システムによるコントロール、長年積み上げてきたノウハウを生かし、製品化に結び付けている。

 同社は尺巻物制御メーカーとして、関連装置・素材メーカーのモノづくりのサポートを推進。長尺巻物素材(金属・繊維・光ファイバなど線材、紙・フィルムなどのシート材)を高精度な張力・速度で取り扱う制御技術を確立。長尺巻物に特化した張力・速度制御コントローラを自社開発したほか、業界初の超極細金属線用ノンスリップ型伸線機を開発・販売。独自技術でオンリーワン商品を作り続けている。

 19年12月期は過去最高の12億円の売上げを達成した。今年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で落ち込んだものの、来年度は19年の売上高に近づく予定だ。

 同社が開発しているノンスリップ型伸線機は各伸線ユニットを独立させて駆動。また、各駆動ロールの周速度とライン速度を同期させることでどのような速度、減面率設定でも伸線が可能。超微細径化に対しても高速伸線ができるほか、ワイヤを細くするダイス部分の入側張力設定と、ノンスリップ駆動によりワイヤの表面品質が向上。高減面率設定によるダイスの使用枚数の低減などコスト削減にもつながるという。

 このほど、超極細金属線用のノンスリップ型伸線機の新製品「D3ULTUF-10DS」を発売。省スペース化を図り、本体価格も800万円と従来品より安く抑えた。10マイクロメートル台の仕上げに最適という。松永健営業技術部長は「省スペース化が図れたことで、工場内のスペースに設置しやすくなった。求めやすい価格帯になり、敷居が下がった」と話す。

 今後はケーブル業界、半導体向けのほか、最近伸びが目立っている医療向け業界にも提案を強化。松永部長は「医療向けではチューブやフィルタなどのニーズがある。ロボット向けなどにも注力し提案活動を強化したい」と語った。