2021.01.06 スペインの再エネ事業者を初の子会社化オリックス、「海外戦略のプラットフォーム」に
オリックスが、再生可能エネルギー事業の海外展開を強めている。スペインを本拠とし、グローバルに再エネ事業を手掛ける「エラワン・エナジー社」(マドリード)を買収すると発表した。既に欧州など14カ国で風力発電や太陽光発電の開発、運営をしている企業で、オリックスが海外の再エネ事業者を連結子会社化するのは初めてだ。海外展開を拡大していくうえで、「戦略上のプラットフォーム」と位置付ける。
オリックスは、欧州の現地法人を通じて、エラワン社の発行済み株式の80%を取得することで合意した。21年4-6月中に取得することを目指し、今後予定される増資分も含め、取得額は1000億円程度になる見込み。海外の再エネ事業会社を買収するのは初めてで、グループの海外事業の加速を後押しする「極めて重要な案件」(オリックスグループ広報・渉外部)となる。
エラワン社は07年に設立。手掛ける風力発電と太陽光発電の開発や運営は、欧州を中心に、北米や南米など現在14カ国に及ぶ。これまでに開発した設備容量は計約2.9GWに達し、うち約714MWを所有しているほかは、別企業に売却などをしてきた。さらに、建設中が計461MWあり、計画中が計10GW以上も残る。
エラワン社は開発から運営まで一貫して担える専門性を持っていることが特徴で、オリックスは、エラワン社のノウハウや人的資源を活用していく方針だ。「14カ国の中には当社が、再エネ事業で展開できていないエリアが多くある。複数の国で開発した設備を売却するだけでなく、長期保有もするなど、多方面にわたって、あらゆる事業をこなしている点が魅力だ」(同)という。
国内でも海外企業と連携
オリックスは、再エネ事業を「重要な経営戦略の一つ」と位置づけ、国内外で事業展開を進めている。
グループは大分県別府市で運営するホテルで、自家消費用としては当初、国内最大規模だった1.9MWの地熱発電所を所有・運営しているほか、東京都・八丈島に地熱発電した電力の供給を見据えて八丈町と協定を結ぶなどしてきた。
19年9月には、北海道函館市で地熱発電所の建設に着工。地下からの熱水で、水より低い沸点の液体を蒸気化して発電する「バイナリー式」を採用した。17年に出資した、米国ネバダ州の地熱発電事業会社は、このバイナリー式の発電設備導入量で世界トップクラスのシェアを誇る。「函館市の開発でも、情報交換などをしながら連携している」(同)という。
また、20年9月にはインドの大手再エネ事業会社に出資することで合意し、急拡大するインドの再エネ市場で、一層の収益性や事業拡大を図っている。金融面では20年12月に、イギリス・ロンドンの資産運用会社を買収することを公表。再エネ関連の資産など、主にESGの観点から投資するファンドを運用しており、オリックスグループの事業と「親和性が高い」(オリックス)と判断したという。
オリックスグループ広報・渉外部は「アジアや欧州を中心に世界の再エネ需要を取り込んでいく。今後、エラワン社を通じて投資していくこともありうる」と話している。