2021.01.21 【コンデンサ技術特集】 コンデンサ、活発な新製品開発小型・高容量、高耐熱・高耐圧、長寿命化など技術高度化

小型大容量MLCC 0201サイズ(右)、0402サイズ(村田製作所)

150℃2000時間保証アルミ電解コンデンサ(ニチコン)150℃2000時間保証アルミ電解コンデンサ(ニチコン)

 コンデンサは昨年夏以降から拡大している需要増の中で、軽薄短小、高容量、高耐熱、高耐電圧、高信頼、低抵抗、低損失、耐振動、長寿命などの要望に応えた開発、新製品投入が進んでいる。

 年間2兆5000億個超の巨大市場である積層セラミックコンデンサ(MLCC)は、小型、高容量が一段と進んでいる。一般用は18年に市場の主流が1005サイズ(1.0×0.5ミリメートル)から0603サイズ(0.6×0.3ミリメートル)に移り、スマホのほか、ノートPC、テレビなどに採用が広がっている。自動車向けに要望してきた小型品採用も新規設計プラットフォームで1005、0603サイズの小型品採用が反映されている。0402サイズ(0.4×0.2ミリメートル)もスマホやウエアラブル端末で採用が進む。ハイエンドスマホには1000個前後が搭載され、小型化ニーズは根強い。16年に開発を終え、17年から量産を開始した0201サイズ(0.25×0.125ミリメートル)はスマホ用モジュール向けのほか、多機能化、小型化が進むウエアラブルなどでの採用も増えている。

 セラミック材料、電極材料の微粒化、均一化、微細積層の技術開発で誘電体セラミックシート厚みは0.5マイクロメートル前後、積層数は1000層以上となり、小型化、高容量化が進む。0402サイズは1.0μF・4V品が量産され、6.3V品を21年度にラインアップ予定。19年12月に量産が始まった0201サイズで0.1マイクロF、6.3V品はスマホ用モジュールやウエアラブル端末で採用が増えている。

 ICパッケージの中に多連で取り込むシリコンキャパシタの開発も進んでいる

 アルミ電解コンデンサは低コスト、小型、高容量、高信頼性の特徴から一般用のほか、自動車用、産業機器用にも需要が拡大。同時に高耐熱性、低ESR化、長寿命化も求められている。材料、製法の改良に加え、低蒸散性能、低比抵抗電解液の採用により、チップ形アルミ電解コンデンサで業界初の150℃2000時間保証品の量産が4月から始まる。

 自動車用途で採用が増大している導電性高分子アルミ固体電解コンデンサは、導電性高分子材料、アルミ箔の改善などで105℃2万時間保証品で定格電圧品、150℃2000時間保証品で定格電圧、低背品、長寸法品のラインアップが進んでいる。導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサは、高容量陽極箔の採用や導電性高分子材料、電解液の最適化などで同一サイズなら1ランク高容量化、同一容量ならワンランク小型化でき、ユニットの小型化、軽量化に応えた新製品投入が相次ぐ。

 電気二重層コンデンサは、高出力、パワー密度、サイクル寿命が優れることから電子機器のバックアップ用途を中心に需要を拡大。カメラ搭載メガネ型コンピュータ、腕時計型端末、リストバンド型健康器具などのウエアラブル端末からゲーム機、スマートメーターの電源バックアップや、自動車、建機、エレベータなどの回生エネルギー分野まで幅広い用途で巻回型、積層型が使い分けられている。

 フィルムコンデンサは使用する誘電体フィルムで様々な特徴を持たせている。特に過酷な条件で使用される自動車向けは車種ごとに最適なカスタム提案に力が入る。EV、HVなどの主機モーター駆動インバータの平滑用は増産対応に追われ、パワーエレクトロニクス機器では高耐電圧、低損失、高信頼性のニーズに対応した製品開発、供給が続いている。

 タンタルコンデンサは小型、長寿命、広温度範囲での安定した電気特性を特徴に小型、薄型、高機能、高性能、回路保護などの製品群を取りそろえている。チップ型は自動車向けのほか、補聴器、デジタルオーディオ機器、モバイル機器、業務用無線機、ワイヤレスヘッドセットなどで採用され、リード線タイプは鉄道や信号機などの高信頼性市場での根強い需要に応える。