2021.02.02 【コネクタ特集】 生産・開発体制強化への投資活発化サプライチェーン再強化も
ヒロセ電機の一関試験センター新棟(岩手県一関市)
コネクタメーカー各社は、今年も国内外で生産体制や開発体制強化に向けた積極投資を推進する。各社は、グローバル生産能力増強のための新工場建設や生産設備増強を進めるとともに、試験・評価体制の強化や、工場のスマート化のための投資などに力を注いでいる。コロナ禍での安定供給確保のため、グローバルサプライチェーン見直しなどの取り組みも進展している。
増産へ設備投資
コネクタ各社の新工場建設や新工場棟増設の動きは、17年から19年にかけて活発さが継続した。20年は不要不急の投資抑制などの動きから、新工場着工件数はやや減少気味となったが、各社の中長期の事業拡大のための投資意欲は高く、21年以降に向け、多くのメーカーが増産のための設備投資を計画している。特に、中長期的な需要増大が見込まれる車載・産業機器市場向けコネクタやコネクタ内製部品の生産強化の取り組みが活発となっている。
同時に、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、20年にASEANやメキシコなどで工場の生産停止を余儀なくされた経験などを踏まえ、グローバルサプライチェーンの再強化に向けた取り組みも活発。同一製品をグローバル複数拠点で生産できる体制づくりを強化することで、万全な供給体制の確保が志向されている。
モノづくり力の強化に向け、高速プレス機の導入や、画像による自動検査ラインの拡充などの投資も活発に行われている。
ヒロセ電機は、連結子会社の郡山ヒロセ電機(福島県郡山市)が、郡山市内で新たな工場用地を取得し、21年度に新工場建設に着工する。中長期的な「ものづくり力の強化・拡大」や、予期せぬ自然災害などを含めての「安全性・利便性向上」を目的としたもので、竣工時期は23年度を予定。
同社は、国内外でモノづくり力強化のための積極投資を進めており、20年1月には菊名事業所(横浜市港北区)に新金型棟を竣工させた。さらに、18年に稼働させた一関試験センター新棟(岩手県一関市)、横浜センター(横浜市都筑区)のEMC試験室などの設備を一層活用していくことで、実効性を高め能力を上げていく。
本多通信工業は、車載カメラ用コネクタのグローバル生産体制増強のための新工場として、ベトナム委託工場(ハノイ地区)を準備中で、21年の2月から3月ごろの量産開始を予定する。
同時に、海外主力工場の中国・深圳工場(広東省深圳市)では、21年度に向け、車載センシングカメラ用コネクタの生産能力増強を推進する。
イリソ電子工業は、初の米州地区生産拠点としてメキシコ新工場の準備を進めている。着工時期は未定だが、同社が掲げる「長期ビジョン」の達成に向けた大型拠点として、しかるべき時期の着工を予定する。
日本航空電子工業は、現状では新工場建設の予定はないが、コネクタ生産体制の多拠点化を進める計画で、台湾工場(台中市)でのスマホ用基板対基板コネクタの全自動生産を立ち上げ、拡大する方針。また、19年度下期に稼働した台湾の彰化工場(彰化縣鹿港鎮)では、産機インフラ向け製品の一貫生産拡大に向け順次、設備の導入を進めている。