2021.02.05 【抵抗器特集】市場動向自動車、5G、産機などに照準
高信頼性厚膜チップ抵抗器
抵抗器市場の回復が続いている。抵抗器のグローバル需要は、20年夏場以降の自動車生産回復や、堅調な民生機器需要などを追い風に、20年秋以降は需要が反転し、21年も成長の継続が期待されている。抵抗器メーカー各社は、自動車、第5世代高速通信規格5G、産業機器などの分野に照準を合わせた技術開発や営業・マーケティング活動を強化することで、中長期での成長を目指す。
抵抗器のグローバル需要は、17年から18年にかけて好調な拡大が続いたが、18年秋以降、米中貿易摩擦の激化に起因する中国経済の減速や世界的な自動車市場低迷などの影響を受け、18年末から19年にかけて低調な状態が続いた。JEITA(電子情報技術産業協会)の統計によると、19年の抵抗器のグローバル出荷額は前年比12%減の1434億円にとどまった。
さらに20年は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う企業活動の減速や消費低迷が響き、年前半は厳しい状況が続いた。しかしながら、抵抗器需要はほかの電子部品と同様に、20年4-6月までに底を打ち、夏場以降は月を追って需要が回復。JEITAグローバル出荷の月次データでは、抵抗器のグローバル出荷は20年9月度にほぼ前年同月並みに回復し、10月度は前年同月比4%増、11月度は同9%増と、20年10月以降は前年同月を上回る水準での推移となっている。
抵抗器需要回復の背景には、中国や米国を中心に20年夏以降、自動車生産が急速に回復していることや、5G関連での端末・基地局需要の増加、半導体製造装置需要の拡大などが挙げられる。さらに、テレワークや巣ごもり関連でのPCやゲーム機などコンシューマ関連機器の需要増も、抵抗器の需要を押し上げている。
21年、成長継続へ
21年についても、抵抗器需要は成長の継続が期待されている。特に、当初の想定を上回るペースでの生産回復が進んでいる自動車は、今後も付加価値の高い抵抗器の需要をけん引する分野として期待されている。車載用抵抗器市場は、車の高機能化・電動化の進展によって、今後も自動車生産台数の伸びを上回る成長が見込まれている。
今年が「本格普及元年」とされる5G関連の需要も、端末用・基地局用を含め、抵抗器市場を活発化させていくことが予想されている。デジタルシフトの加速によるICT関連での需要増加も期待される。コロナ禍による需要低迷からの回復が遅れていたFA機器・工作機械などの産業機器向けの需要も、今後は緩やかな回復が期待されている。
抵抗器メーカー各社は、今後もADAS/自動運転技術や電動化をキーワードとした進化が進む自動車や、高機能携帯端末、産業機器、IoT関連などの成長市場に照準を合わせ、特徴ある新製品開発や営業・マーケティング活動強化に取り組むことで、今後も持続的な成長を目指す。