2021.02.12 【省エネ大賞特集】建築関連分野の応募が増加
例年、東京・有明の東京ビッグサイトで省エネ大賞の表彰式は開催されるが、今年はコロナ禍で中止となった(写真は昨年の表彰式)
「省エネ大賞」は、省エネを推進している企業や、省エネ性に優れた製品を開発した企業の活動を共有するとともに、優れた製品・取り組みを表彰して企業の省エネ意識の向上を目指した制度。1990年に第1回表彰が行われた。20年度は新型コロナウイルスの影響で表彰式と発表会は中止になったが、コロナ禍でありながら、昨年度を上回る110件以上の応募があった。省エネ事例部門で27件、製品・ビジネスモデル部門で29件がそれぞれ受賞した。
脱炭素化社会の構築に向け、エネルギー使用の合理化や効率化が一層求められる中、省エネ活動や高効率製品の開発・普及などが様々な分野で活発化しつつある。省エネルギーセンター主催事業として今年で10回目を迎えた省エネ大賞は、国全体の省エネ意識の拡大や、省エネ製品の普及などによる省エネ型社会の構築に寄与することを目的に、毎年実施されている。
省エネ大賞には例年、様々な分野からの応募があり、近年は「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)/ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・住宅)」といった建築関連分野のほか、省エネ支援を目的にした事業分野からの応募が増加傾向にある。同時に、中小企業からの応募も3年連続20件以上になるなど省エネの裾野は広がっている。
今回の「省エネ事例部門」では、建築関連が4分の1を占め、既築・新築ビル、大規模開発などZEBへの幅広い取り組みが増加した。省エネを加速する上で根幹ともいえる、グループ単位の小集団活動については14件の応募があり、現場第一線における改善活動の定着がうかがえる。食品分野の安全・安心を担保しつつ省エネとの両立を目指す取り組みやサプライチェーンとしての取り組みなど新たな分野も見られる。
「製品・ビジネスモデル部門」では、事例部門と同様に建築関連が2割近くになり、製品自体の効率化に加え、使い方など運用面での改善が見られる。ビジネスモデルも同部門の2割を占め、「実態調査・分析から機器、システム設計、エンジニアリング、評価、効果検証」までの一連の業務支援への期待が大きいことが分かる。
製品別では空調、給湯関連が全体の3分の1となり、特にコロナの影響もあり、換気関係の製品が増加している。
富士通ゼネラルのエアコン
「ノクリア」 HMシリーズ
エネルギーセンター会長賞受賞
富士通ゼネラルは、一方向天井埋め込みカセット形エアコン(一方向天カセ)で、業界初となるマルチフロー技術を採用し、業界トップクラスの省エネ性を実現した家庭用エアコン「ノクリア」HMシリーズで、エネルギーセンター会長賞を初めて受賞した。
同社はエアコン開発において「家中をムラなく快適にすること」と、「省エネは永遠の命題」と考え、製品開発時には特に意識してきた。新型コロナの影響で在宅時間が増え、エアコンの稼働時間も増加している今、ますます省エネへのニーズが高まっている。
HMシリーズは、熱交換器の容量拡大による性能向上や吸い込み・吹き出し時の通風抵抗低減による消費電力の抑制など、室内機内部のレイアウトを工夫することで省エネを実現させた。
熱交換器の2分割化や吸い込み口の拡大、風路の最適化など室内機内部のレイアウトを工夫することで、通風ロスを大幅に低減し消費電力を削減。送風機を二つの熱交換器で挟み込むことで大容量の熱交換器を効果的に活用。空気のスムーズな取り込みと、吹き出し口にかけて広角に広がる送風路にすることで送風抵抗を低減した。
部屋全体に気流が行き渡りにくいという一方向天カセの課題を解決するため、業界初の可動式吹き出し口による高い快適性と設置性にもこだわった。
前方向の吹き出し口に加え、可動式の吹き出し口を左右両側に搭載した最大可動範囲200度の吹き出し口から11メートルのロング気流を吹き出すことで、正面吹き出しのみでは行き渡りにくかった場所にも気流が届くようになった。
正面吹き出しのみの場合に比べ、設定温度に早く、少ない電力量で到達する。可動式吹き出し口は左右それぞれ最大100度まで個別に回転して向きを変えられるため、部屋の形状などに合わせたフレキシブルな風向設定が可能となり、設置場所の制約を受けにくくなる。
HMシリーズには独自技術の「熱交換器加熱除菌」機能を搭載したことで、室内機内部を清潔に保つことが可能だ。冷房・除湿運転時に、エアコン内部のハイドロフィリック熱交換器に発生した水滴で汚れを浮かせて洗い流し、残った水分を55度以上に高温加熱することで、カビ菌や細菌を10分で除去する。