2021.02.25 「カーボンニュートラル」30年度に達成へ日立、環境関連に10年間で840億円投資

 日立製作所は25日、30年度までの10年間で840億円を環境関連分野に投じる計画を打ち出した。日立は生産時に排出する二酸化炭素(CO₂)など温室効果ガスを実質ゼロに抑える「カーボンニュートラル」について、同年度に達成する目標を掲げている。その実現に向け、環境面の成果を役員報酬に反映する仕組みを4月に導入する方針も示した。

 環境関連の投資計画などは、同日にオンライン上で開いた環境戦略・研究開発戦略説明会で明らかにした。

 840億円の内訳は、省エネルギー性能が高い生産設備の導入など、エネルギー効率の改善に向けた投資で600億円。残りは、太陽光や風力など再生可能エネルギー由来電力の調達に充てるという。

 カーボンニュートラルを先行して実現したのは、分析・検査装置などを手がける日立ハイテクグループの3事業所。21年度には、日立中央研究所(東京都国分寺市)の研究棟「協創棟」がカーボンニュートラルを達成する見込みだ。

 報酬連動制度については報酬委員会で議論を進めており、3月末までに決める予定だ。

 原材料や部品の調達に始まるバリューチェーン(価値連鎖)全体から排出されるCO₂うち、約9割を占めるのが製品・サービス使用時の排出量。これを踏まえ、CO₂排出量を10年度比で50年度までに80%削減する長期目標も掲げている。

 日立執行役副社長のアリステア・ドーマー氏は、ステークホルダー(利害関係者)との連携を通じて、バリューチェーン全体の目標を達成する決意を表明。さらに「『グリーンテクノロジー×デジタル』は日立における成長の真のエンジンだ」とした上で、ITやエネルギーなどの重点5セクターを通じて環境に貢献する姿勢も強調した。