2021.03.02 【コンデンサ特集】拡大基調へ自動車や5G関連など需要増で

150度対応チップ形導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ

 コンデンサ市場は拡大基調にある。米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、昨年夏まで自動車の生産停止や設備投資の抑制で車載用や製造設備向け需要が減少。コロナ禍で面談が難しく、展示会なども中止や延期が余儀なくされて思うような営業活動ができず、需要の押し下げ要因になっていた。

 しかし、中国市場や自動車市場の回復が想定以上に早く、5Gの基地局や、端末の需要増に巣ごもり需要によるPCや白物家電の需要が加わり、コンデンサ市場は夏以降、順調に回復。昨年秋以降は小形・高容量の積層セラミックコンデンサ(MLCC)やアルミ電解コンデンサのように供給がタイトになっているものもある。

 導電性高分子のハイブリッドアルミ電解コンデンサ、アルミ固体電解コンデンサ、フィルムコンデンサの需要も増加の一途だ。アルミ電解コンデンサの巻回型製品技術を活用したリード線形の小形リチウムイオン二次電池を新たな柱に加えるメーカーも出てきた。

 足元も総じてコンデンサ需要は活発だ。3月以降も自動車の電装化の進展、環境対応車の増加や5G基地局、5Gスマートフォン、IoT、半導体製造装置、白物家電、サーバー、PC向けなどの需要増が見込め、強気の市場予測が大勢。そのためコンデンサメーカー各社は、現行生産ラインの生産性向上や生産棟の建設・竣工稼働で生産能力増を図る動きを加速。軽薄短小や高容量、高耐熱、高耐電圧、高信頼、低抵抗、低損失、耐振動、長寿命の要望に応えた製品開発、新製品投入にも力が入る。

 年間2兆5千億個超の巨大市場のMLCCは、小形、高容量化が一段と進み、18年に市場の主流サイズが1005から0603に移り、高容量化が進んでいる。自動車用でも18年に1608から1005が主流となり、新設計では0603の採用が進む。スマホ、ウエアラブル用には0402で1.0マイクロF・4V品、0201で0.1マイクロF・6.3V品の供給が増えている。

 アルミ電解コンデンサは一般用から自動車、産機に用途が拡大。チップ形では業界初の150度2000時間保証品の量産が4月から始まる。導電性高分子アルミ固体電解コンデンサは105度2万時間保証品、150度2000時間保証品で定格電圧、サイズ拡大が進む。導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサは1ランクの高容量、小形品の市場投入が相次ぐ。

 電気二重層コンデンサは電子機器のバックアップ用途から自動車、建機、エレベータの回生エネルギー分野まで用途が拡大。フィルムコンデンサはEV、HVなどの主機モーター駆動インバータ平滑用や再生可能エネルギー用の需要が増大している。タンタルコンデンサはチップ形が自動車や電子機器で、リード線形が鉄道や信号機などで根強い需要がある。