2021.03.10 被災地復興支援、毎月の電気料金で「ちょっと」みんな電力がプラン、再エネ発電所を応援

被災地応援でんきの応援先に加わった、飯舘電力のソーラーシェアリング型発電所

被災地応援でんきのスキーム図被災地応援でんきのスキーム図

運営する太陽光発電所の前に立つ三浦広志さん運営する太陽光発電所の前に立つ三浦広志さん

飼料の牧草を食べるブランド牛を指さす飯舘電力の関係者。飼料は、同電力のソーラーシェアリングで栽培されている飼料の牧草を食べるブランド牛を指さす飯舘電力の関係者。飼料は、同電力のソーラーシェアリングで栽培されている

 毎日使う電気で、ちょっとした被災地支援を-。そんな復興への手助けを、再生可能エネルギー系新電力のみんな電力(東京都世田谷区)が取り組んでいる。11年の東日本大震災などで被災した地域にできた再エネ発電所を応援する料金プランを設けて、PRを続ける。毎月の電力料金から一定額を応援金として送る仕組み。同社は「応援先も増やしていく。広く利用してもらいたい」と訴える。

 プランは「被災地応援でんき」。東日本大震災の被災地で炊き出しなどの支援活動を続けている団体「ラブフォーニッポン」(東京都渋谷区)と共同で20年9月に開設した。同団体は、ローソクを使う著名なアーティストのキャンドル・ジュンさんが代表を務め、東日本大震災の月命日にあたる毎月11日には、現地でローソクを灯すイベントなども続けている。

 同プランは、みんな電力と電力小売り契約していれば、誰でも申し込める。毎月支払う電気料金に100円だけが加算され、みんな電力が応援先として指定した被災地の再エネ発電所に、同社が電力を仕入れた対価に100円分を上乗せして支払われる仕組みだ。

 利用者にとって、加算分以外は料金なども他の通常のプランと変わらず、応援先も候補の中から自分で選択できる。

 応援先で選べるのは、発電した電力を、同社が相対取引で仕入れている再エネ発電所。第1号となったのは、福島県南相馬市の農業、三浦広志さんが運営する太陽光発電所3カ所だった。

 そのうちの一つ、「野馬土井田川太陽光発電所」は、震災と福島第一原発事故で被災し、使用できなくなった農地に設置された。出力容量は47.2kW。事故があった原発から約12キロメートルにあり、「最も近いソーラーパネル」(みんな電力)とされ、象徴的な意味を持つ。三浦さんは、発電で得た収益で観光業なども手掛け地域に雇用を創出し、復興に貢献しているという。

応援先を拡大、全国へ

 さらに、今回、4カ所目の応援先として、福島県飯舘村の地域新電力、飯舘電力が運営する「飯舘村小宮字くつわ掛発電所」が加わった。

 同村は、原発事故で村全域が計画的避難区域の指定を受けた。農業が主な産業だった同村では、17年に解除されるまでの6年間、広大な農地が耕作されないままだったという。

 14年に設立された飯舘電力は、復興施策として耕作放棄地にソーラーパネルを建設。日光を発電と農業の両方に活用するソーラーシェアリング型発電事業を始めた。今では、通常の太陽光発電所も含め約50カ所で運営する。

 そのうちの一つ、「くつわ掛発電所」は出力容量49.5kW(一般家庭約15世帯分)。パネルの下では、牧草を栽培し、地元産のブランド牛の飼料などになっている。

 みんな電力は、福島県での復興支援イベントでブース出展するなどして、プランのPRを行っていくという。さらに、応援先の発電所を増やしていく方針で、「次のステップ」(みんな電力)として、台風や豪雨、地震などの自然災害による全国の被災地へと広く拡大させていく考えだ。オンラインで発電所のオーナーとつながるイベントなどの企画も開催していくという。

 みんな電力は「思いのある需要家に選んでもらっているプラン」だとし、「他社と差別化するという意識はあまりない。再エネの特徴を持った企業として、様々な人を巻き込んで、再エネを通じた被災地支援の一助としていきたい」と話している。