2021.03.24 【関西エレクトロニクス産業特集】自動車自動運転の実証実験進む

自動バレーパーキングに係る実証実験

自動バレーパーキングでレベル4の事例も

 関西では企業や自治体が各エリアで、公道や公道周辺の場所での自動運転の実証実験を進めている。

 ゼロ・サム(京都市下京区)と日本信号(東京都千代田区)などは、けいはんなオープンイノベーションセンター(京都府精華町)の駐車場で自動バレーパーキングに係る実証実験を実施。自動運転車と一般車両とが混在する駐車場を想定した自動化レベル4の自動バレーパーキングシステム実証実験は、全国初となる。

 実証実験では、ゼロ・サムの同時複数車両に対する経路誘導ナビシステム、日本信号のフェールセーフ技術を基盤とした駐車場管制システムを活用。駐車場内における複数の自動運転車の制御や、自動運転車と一般車両が混在する駐車場で、インフラ監視による自動運転車両の停止指示、管制システムによる最適経路への変更指示の有効性を確認した。

 WILLER(大阪市北区)とシンガポールのST Engineeringなどは、関西文化学術研究都市の公道でニューノーマル(新しい日常)に対応した自動運転サービスの実証実験を実施した。移動に健康プログラムや快適なテレワーク環境などの地元プログラムを掛け合わせた高齢者向けと在宅勤務者向けのサービスを提供。自動運転バスで移動し、健康増進施設などへ導く。

WILLERの自動運転車両

 バスは、仏NAVYA(ナビヤ)製「ARMA」(アルマ)を活用。完全電気自動車で自動運転モード、手動運転モードでの走行ができる。けいはんな記念公園周辺約4.8キロメートルを走行。利用者は健康増進を行うための施設にはシェアサイクルやバスを利用して移動したが、期間中は大きなトラブルもなく、利用者も興味を示して乗ってくれたという。

 兵庫県では、次世代型モビリティサービスを活用した実証実験(西播磨MaaS)を播磨科学公園都市(兵庫県たつの市・上郡町・佐用町)で実施。その中で芝生広場と周辺住宅地を結ぶ自動走行カートを活用した自動運転の実証実験も行った。

西播磨MaaSでの自動走行カートの実証実験。ワイヤレス充電の実証も行った

 自動走行カートは1台(4人乗り、ヤマハ製電動カート)を運行。エリア中心にある芝生広場と住宅地を定時定路線により低速で約2.5キロメートルを周回する。ドライバーによる監視状態で自動走行カートを運行した。ワイヤレス充電の実証も同時に実施。ワイヤレス充電システムは関西電力・ダイヘンの技術を採用した。

 三井物産やパナソニックなどは、万博記念公園(大阪府吹田市)で、自動運転車両を活用した次世代型モビリティサービスの実証試験を共同で実施した。国内外で走行実績のある小型自動運転EVに、パナソニックが開発中の透明ディスプレイを搭載。楽しみながら学べる新たな移動体験型サービスとして提供する。

 EV車はBOLDLY(東京都千代田区)が提供するナビヤ製アルマ。パナソニックが開発中の透明ディスプレイを採用することで、透過して見える公園や庭園の風景が楽しめる。ディスプレイに映し出される対話型アバターや多言語対応型アバターによるガイダンス映像を折り重ねて、見ながら移動することも可能だ。