2021.05.10 【調理家電特集】冷蔵庫の冷凍技術が進化
在宅時間の増加で調理家電は好調に推移した
コロナ禍で在宅時間が増え、巣ごもり消費が拡大したことで、2020年度の白物家電は全般的に販売が伸びている。中でも調理家電は内食化が進んだことで、大幅に販売増となった商品も多かった。
前年を大きく上回った代表的な商品はホットプレートだ。日本電機工業会(JEMA)の出荷統計によると、20年度の出荷台数は前年比156%の128万台を記録した。
トースターも2桁伸長し、前年比115%の300万台強となった。このほか、電子レンジは同108%の358万台などとなっている。JEMAの出荷統計には入っていないが、ホームベーカリーも健闘したという。
ホットプレートが大きく伸びた要因は、手軽に調理できることが大きいと考えられるが、まだ所有していなかったユーザーも多く、コロナ禍を機に新規購入が増えたことも需要を底上げした要因といわれている。
近年の伸び悩んでいた食器洗い乾燥機も昨年度は健闘した。在宅時間の増加で家事負担軽減が大きなニーズとなる中、内食化で増えた面倒な食器の後片付けが効率化できるということで注目された。20年度第4四半期(21年1~3月)には前年同期比で12%増と2桁伸長した。
炊飯器については、ほぼ前年並みで大きな伸びはなかったが、インバウンド需要が減少する中、年間で約560万台前後の高水準の需要が安定してあるため、健闘しているといえる。
キッチン家電の代表格である冷蔵庫については、ステイホームによるまとめ買い需要が増えて大容量化が進み、鮮度保持性能やIoT機能搭載を含む使い勝手が向上した商品戦略が強まっている。
冷蔵庫については、家電エコポイントのあった約10年前に一つの需要ピークとなった頃の買い替えが始まっており、安定した推移が今期も見込めそうだ。
冷凍技術の進化による生鮮食品の長期保存はもとより、急速冷凍による調理アシスト技術の進化、IoT機能搭載による食材管理で買い忘れ防止、食品ロス軽減につなげるなど、多彩な機能が搭載され、より使い勝手が向上している。
調理に関わる商品全般は、今期も堅調な推移が見込める。コロナ禍によるステイホームを基本とした生活はまだ続きそうで、家事ストレスは増大する一方となる。
シャープの調べでは、家事ストレスの軽減に家電製品の購入を検討したかという問いに約50%が検討したと答えたという(20年4月調査)。購入を検討した家電のトップは調理家電(33%)だ。調理性能はもとより、自動調理や時短調理機能など家事負担軽減に結び付く機能提案が、今後もより効果的なアピールにつながる。
対面を伴う調理教室の開催など、おいしさを実感してもらうための通常の販促手法がとりづらい中で、ウェブを活用したコンテンツの充実など各社工夫している。
パナソニックの冷蔵庫
食関連の家事負担軽減
IoT機能充実の旗艦モデル
パナソニックは冷蔵庫のフラッグシップモデルとして、IoT機能を充実したNR-F657WPX/F607WPXの提案に力を入れる。在宅時間の増加で水道光熱費の削減に対するニーズが高まるほか、買い物、炊事、献立、食品の在庫管理まで食関連で増える家事の負担軽減につながる冷蔵庫として提案する。
「AIエコナビ」は、ユーザーの生活リズムや使い方を7種のセンサーから学習・分析し、予測結果と当日の使用状況に合わせて省エネする。3週間分のドア開閉と収納量の変化を記憶し、曜日ごと、1時間ごとに分析・予測。予測結果と7種のセンサーで検知する当日の使用状況から、適切な運転に自動で切り替え、賢く節電する。
加えて、スマートフォンの位置情報と連携した二つの省エネ運転モード(「お留守番モード」「お買い物準備モード」)を業界で初めて採用。ユーザーの使用状況、位置情報をもとに賢く省エネできる。
二つの新運転モードは、専用アプリケーション「Cool Pantry」から適した運転を提案する。お留守番モードは、自宅から離れると自動で節電運転を開始する。お買い物準備モードは、まとめ買いに備えて効率的な運転を提案する。
位置情報との連携で、より賢く節電しながら、しっかりと冷却できる。また、アプリで電気代の削減金額の目安も確認でき(グラフ表示)、省エネ行動につながる。
「ストックマネージャー」搭載
さらに、重量から残量情報をアプリで管理できる「ストックマネージャー」を業界で初めて搭載した。買い物の際に冷蔵庫の中にある食材が分からず困った経験を持つ人も多く、管理したい食材は「キッチンポケット」アプリに登録し、重量検知プレートに載せれば、IoT機能により残量の変動が自動で更新され、外出先からも確認できる。
在庫情報は家族で共有できるので、使用状況に合わせた無駄のない買い物をサポートする。設定した残量や利用期限の通知機能で、使い忘れによる食品ロスと、買い忘れによる献立変更を軽減し、日々の調理に役立つ。管理したい食材が複数ある場合は、重量検知プレートを別売しており、買い足すことができる。
このほか、約マイナス3度の「微凍結パーシャル」は、食材別に約7日から約14日まで新鮮に保存でき、まとめ買いをしても解凍の手間なく、鮮度の高い食材で調理ができる。
また業務用レベルの急速冷凍を実現し、調理をアシストする「はやうま冷凍」や、全室脱臭・除菌ができる同社独自の「ナノイーX」も搭載する。