2021.06.07 FUJIが中期経営計画スタート23年度売上高1600億円目標

須原 社長

FUJIの次世代実装機「NXTR」FUJIの次世代実装機「NXTR」

NXTR核に全自動実装ライン提案

 FUJIは21年度(22年3月期)を起点とする3年間の中期経営計画をスタートした。「DXを活用した事業戦略の推進」「SDGsを意識した事業展開」「旗艦機種の市場浸透」などを方針に、24年3月期に売上高1600億円、営業利益300億円を目指す。

 20年度(21年3月期)は1361億6100万円(前期比3.4%減)と減収ながら、営業利益は219億400万円(同11.9%増)、最終利益は171億6700万円(同14.7%増)で増益を計上した。主力の実装機を中心としたロボットソリューション事業は、売上高は1255億6900万円(同1.7%減)とほぼ横ばいだが、営業利益は263億700万円(同12.6%増)の2桁増益だった。

 須原信介社長は「新型コロナウイルスの感染対策として世界各国で普及したテレワークなどを追い風に、中国・その他アジア地域からのパソコン(PC)、サーバー、スマホなどの需要増で実装機が底堅く推移した。車載関連を中心とする欧米市場では新型コロナ感染拡大による経済停滞の影響を受けた」と説明する。

 ロボットソリューション事業の地域別売上高は日本6%(前期6%)、中国56%(同50%)、他アジア24%(同25%)、米国5%(同6%)、欧州7%(同10%)などで、中国がけん引した。

 22年3月期の業績について須原社長は「実装機は堅調に推移するとみるが、半導体の供給不足が製造業の生産活動にも影響を及ぼす懸念があり、業績は慎重に予測している」と述べ、売上高1250億円(前期比8.2%減)、営業利益165億円(同24.7%減)、純利益120億円(同30.1%減)の減収減益を予想する。うちロボットソリューション事業は売上高1100億円(同12.4%減)を見込む。

 前中計(18~20年度)ではさまざまな実績を上げてきた。高速多機能実装機NXTシリーズが03年の発売以来、累計出荷10万台を達成。第3世代のNXTⅢはモバイル機器、車載、サーバー、PCなど、試作から変種変量生産まで幅広い分野に導入されている。

 表面実装ラインの完全自動化を目指した次世代実装機NXTRを、20年度に市場投入した。NXTRは表面実装工程における「三つのゼロ」(実装不良ゼロ、オペレーターゼロ、機械停止ゼロ)を目標に新たに開発された。新プラットフォームと位置付けるNXTRにより、電子部品実装ラインの統合生産システム「Nexim(ネクシム)」を核にした「FUJIスマートファクトリー」をさらに進化させ顧客への提案を広げている。

 NXTRやNXTⅢのほかGPX-CSⅡ(スクリーン印刷機)、AIMEXⅢ(拡張型オールインワン装着機)、sFAB-SH(モジュール型汎用〈はんよう〉自動組立機)、sTowerⅡ2200(自動部品保管システム)など、実装の前後工程まで含めた品ぞろえを拡充し、他社との協業も拡大している。

 事業拡大の一環で取り組む、介護施設での高齢者・障がい者の移乗を支援する移乗サポートロボットの新モデル「Hug T1-02」は、経済産業省や厚生労働省などが共催する「第9回ロボット大賞」で厚生労働大臣賞を受賞した。16年から事業化した宅配ロッカーシステム「Quist(クイスト)」は、日本郵便やホームセンターなどで採用が進んでいる。

 プラズマを応用し、金属などの表面を改質して接着性を高める大気圧プラズマユニット「Tough Plasma(タフプラズマ)」は、中国市場でも本格的な販売を開始した。

 半導体製造装置メーカーのファスフォードテクノロジ(FFT)を子会社化し、半導体後工程や電子部品実装工程の次世代技術開発や製品開発を進めている。人工知能触覚ロボット技術のスタートアップ企業RIOS(米カリフォルニア州)にも出資した。

 将来の売上高2000億円の足掛かりにすべく、次世代新規事業として物流自動化、3Dプリンター、SIヤー支援プラットフォーム、エコーガイドシステムなどの事業化にも取り組んでいる。