2021.06.22 タイで家庭向けLPガス販売事業伊藤忠エネクス、海外での太陽光事業も視野
バンコクにあるWP社の施設。LPガスをボンベに充塡(じゅうてん)し、各家庭などへ配送する
伊藤忠系のエネルギー商社、伊藤忠エネクスは、タイで家庭向けLPガス販売事業に参入した。現地の大手LPガス会社、WPエナジー・パブリック社(WP社)と資本業務提携を締結。東南アジアへの進出を本格化させる。
WP社は、タイの複数のLPガス販売事業者が統合して2014年11月に設立された。タイ国内ではブランド別で第2位の販売シェア(約18%)を占める大手だ。外食事業などにも乗りだすなど、多角化を目指している。
WP社はLPガスについて卸売り中心だった事業から、小売りを一層拡大させている途上にある。日本国内有数の販売大手、伊藤忠エネクスは、連携することにより、ノウハウを生かして販売を強化できると判断。4月、数億円をWP社に出資し、発行済株式の5%を取得した。「需要が伸びていることが一番の理由」(伊藤忠エネクス)とし、市場拡大が想定され、安定的な収益が見込めるという。
同社は20年1月、バンコクに駐在員事務所を開設。タイだけでなく、ベトナムやバングラデシュなど近隣の国々で情報収集や市場調査を行ってきた。
既に、15年にインドネシアで工業用ガス販売事業、16年には伊藤忠商事とともにフィリピンで家庭向けのLPガス販売事業に参入している。今後、他の東南アジア各地でもLPガス販売事業への参入を検討するという。
タイでの参入を「東南アジアへの進出を本格化させる足掛かりにしたい」(伊藤忠エネクスコーポレート・コミュニケーション室)考えだ。
バンコクで情報収集
WP社は、タイ国内で太陽光発電事業なども手掛けている。伊藤忠エネクスも日本で再生可能エネルギー事業を展開しており、「再エネなどでも協力できることを意識して提携に進んだ」(同)。
伊藤忠エネクスは11年に風力発電設備などを持つ発電事業会社を買収し、再エネ事業に参入した。今年3月末時点で、太陽光発電を兵庫県と大分県の2カ所で計12.9MW展開。風力を北海道や新潟県の計27.5MW、水力を新潟県に8.8MW有している。
海外ではまだ事業展開していないが、開設したバンコクの駐在員事務所は同国での太陽光発電事業の情報収集業務も担っている。とりわけ、タイでは海外で初となる太陽光発電事業の展開も視野に入れて検討しているという。