2021.07.22 製造業向けソリューション強化エレクトロニクス商社、新商材発掘と独自技術組み合わせ

菱電商事のビジネスカメラソリューション「FlaRevo」

 エレクトロニクス商社は製造業に向けたソリューション事業を強化している。製造業では顧客ニーズの多様化から変種変量生産への対応や、コロナ禍による工場停止や生産計画の見直しなど、さまざまな環境変化への臨機応変な対応が求められる。各商社は製造業が抱えるこうした課題の解決に、新たな商材発掘と、独自の知見や技術を組み合わせたソリューション提案で応えていく。

 マクニカは製造業を対象に「DSF-MES導入体験サービス」の提供を開始した。同サービスは、シーメンス社MESパッケージを活用したマクニカ独自のメソッドによるワークショップを通じて、短期間でMES(生産実行システム)導入時のイメージと効果を確認できる。現状の把握や、ベストプラクティスのシナリオに合わせたデモによって必要な自社要件を定義し、MESパッケージの適合性の判断を可能にする。

 菱電商事は製造現場、工場、物流などに向けたビジネスカメラソリューション「FlaRevo(フラレボ)」の提案を拡大している。ネットワークカメラ(IPカメラ)を製造ラインや工場の随所に人の目の代わりに配置し、カメラで撮像したデータをサーバーに蓄積してさまざまに活用することで、生産性を革新的に向上させる。食品、飲料関係などで多くの納入実績を上げつつある。

ロボットセンター開設

 東京エレクトロンデバイス(TED)は、不定形物のピッキング・仕分け作業用ビジョンロボットシステム「TriMath」の開発と実演を行うロボット施設「東京エレクトロンデバイス ロボットセンター(TRC)」を同社都筑エンジニアリングセンター(横浜市都筑区)内に開設し、6月から本格運用を始めた。

東京エレクトロンデバイスが開設したロボットセンター

 TriMathは製造・物流現場で従来困難だった多種多様な不定形・不規則形状物の柔軟な搬送・仕分け作業を可能にする。

 カナデンは、全社の技術ハブと位置付けるソリューション技術本部の設置など、製造業に向けたソリューションビジネスを強化。その一環でオフィスエフエイ・コム(栃木県小山市)と可搬型ロボットシステム「KaRy(キャリー)」を共同開発し、昨年10月に販売を開始した。三菱電機製産業用ロボット「MELFA FRシリーズ」をベースに可搬型架台、ロボットコントローラー、PLC(Qシリーズ)GOTタッチパネルなどを標準システムとしてワンパッケージ化。初期費用198万円という低価格を実現し、中小製造業の潜在的なロボット需要の開拓を進めている。

AEモニタリングシステム

 菱洋エレクトロは、国産AE(アコースティック・エミッション)モニタリングシステムを開発・販売する信和産業(東京都渋谷区)の生産設備故障予知システム「FIRST AE」を活用した、稼働中の産業機器の故障を予知する製造業向けソリューションの提供を始めた。AEは材料の変形や亀裂の発生時に、材料が内部に蓄えていた弾性エネルギーが高い周波数を持つ音響信号(弾性波)として放出される現象。

 FIRST AEは、生産設備に取り付けたAEセンサーで検出して送られてきた電気信号を集約するAE計測と、計測データを専用ソフトウエアで処理・評価することで対象物の亀裂や摩耗が発生したときに弾性波を捉え、突発的な生産ラインの停止を防ぐ。

 立花エレテックは本社(大阪市西区)1階に、IoT、M2M、ロボット、金属3Dプリンターによる自動化、省人化、見える化を体感、体験できる「Tachibana Smart Laboratory」を昨年12月に開設。顧客のスマート工場化、既存設備の自動化、省力化、見える化ニーズに応えられる最新の機器、ロボット、システム、金属3Dプリンターを実機展示中だ。

 明光電子は、既設の機械式メーターに後付けでIoT化を実現する「IoT角度センサユニット」、高速ビジョンカメラを用いた外観検査システムなど、工場の現場ニーズに対応したソリューションを数多く提供している。

明光電子の工場の機械式メーターをIoT化するソリューション

 IoT角度センサユニットのSIRCセンサーはMRセンサー機能を持ち、計測対象物に貼った磁石の回転を読み取ってアナログ角度データを出力。ブルートゥースルーターでパソコンやスマートフォンに計測値を表示するほか、LaRa無線を使ったゲートウエイでクラウドによる遠隔のメーター監視などが可能だ。

 工場の生産ラインで用いる外観検査システムは、エクスビジョン社の高速ビジョンプラットフォーム「HSV SDK」と高速ビジョンカメラを用いて、フレームレート最高2000fpsの高速リアルタイム計測・制御システムを構築できる。