2021.08.18 【コネクター総合特集】クラレジェネスタ事業を中長期で拡大
クラレは、耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」を事業化し、電気・電子分野のコネクター向けや、自動車関連(車載電装/自動車耐熱部品)を中心に実績を拡大している。
ジェネスタ(PA9T)は、同社が世界で初めて工業化したノナンジアミンを使用したポリアミド樹脂。耐熱性、低吸水性、耐薬品性など優れた特長を持つ。詳細は①優れた耐熱性(融点306度と高く高温時物性に優れる。はんだ耐熱性270度)②低吸水性。以上により表面実装時のブリスター発生を防ぐ③優れたしゅう動性④優れた成形性など。これらの特性が評価され、年々販売規模を拡大している。
2020年度(12月期)のジェネスタ販売数量は、ニューノーマル(新しい日常)需要でのパソコンやタブレット、ゲーム機向けなどの販売増に加え、車載コネクター、高電圧部品、DDR向けなどの需要が増加し、前期比約2割増となった。今年に入ってからも好調が継続しており、フル生産が続いている。
同社では、今後もジェネスタ事業を中長期で拡大していく計画。特に自動車用途では、環境規制の強まりや自動運転、EV/FCV化加速などを追い風とした新規アプリケーション拡大を目指す。車載関連では、ジェネスタの強みである低吸水性と高強度のバランスの良さや、耐トラッキング性などが評価されている。最近は燃料チューブや冷却バルブでの採用も進んでいる。
同社は顧客に対し、設計段階からのソリューションを方針に、筑波のCAE解析機能を活用し、金型や部品設計なども含めた提案を行う。
同事業のグローバル展開では、世界9カ国12拠点に販売や技術サービスの担当者を配置。現在、タイに新工場を建設中で22年度下期の量産開始を予定する。