2021.08.18 【コネクター総合特集】携帯端末用コネクター小型・高性能化に注力、次世代端末向けなど開発活発

5Gミリ波対応端末向け同軸コネクター

 スマートフォンやタブレット、ウエアラブル機器など携帯機器向けの小型・高性能コネクターの開発に、コネクターメーカー各社は力を入れている。

 最近の世界のスマホ市場は、台数の成長が鈍化する一方、第5世代移動通信規格5G化などで端末の高機能化が進む。高密度実装化に伴う部品への小型化要求は継続しており、急速充電や完全防水へのニーズも強い。各社はこれらを踏まえ、次世代端末向けの内部接続用やインターフェース用、大電流対応などの開発を活発化させている。

 内部接続用では、基板対基板コネクターやFPC接続用コネクターの一層の小型・高性能化を推進。基板対基板用は、0.4/0.35ミリピッチといった狭ピッチ品のバリエーション拡充が進み、嵌合高さ0.5ミリメートルの超低背構造の0.4/0.35ミリピッチ基板対基板コネクターなどが開発されている。最近では0.3ミリピッチ基板対基板コネクターも一部のスマホで実用化され、参入企業が増えた。

 FPC接続用は、0.3ミリピッチFPCコネクターの低背化や省スペース化追及とともに、より狭ピッチの0.25/0.2ミリピッチ品の開発も進展。千鳥形状の0.175ミリピッチFPCコネクター開発なども進む。

 5Gスマホ向けでは、マルチRF対応の基板対基板コネクターによる、セットの小型化と生産性向上などが提案されている。

 最近のスマホは内蔵バッテリーが大容量化しているため、電池以外の端末内蔵部品の小型化要求が一層強まっている。コネクターの狭ピッチ・低背・省スペース化では、接触信頼性、機械的強度、作業性などの面で従来品と同等性能を確保できる設計が不可欠だ。

 スマホ向けデジタルインターフェース用は、急速充電用の給電規格「USB PD(パワーデリバリー)」対応や、高速規格「USB3.0(最大データ転送速度5ギガbps)/3.1(同10ギガbps)」対応の製品開発が行われている。

 これらに対応する新世代I/Oとして「USBタイプC」規格準拠コネクターのバリエーション拡充が進行。USBタイプCは、最大10ギガbpsの高速伝送対応、最大5Aの大電流供給、リバーシブル嵌合などが特徴で、多様な機器での普及が期待される。従来よりも防水性能を高めたインターフェースコネクターや防水ジャックなどの開発も活発だ。

 ウエアラブル機器用は、スマートウオッチやワイヤレスヘッドホン向けに超小型・少極コネクターなどの開発などが進んでいる。