2021.08.26 【化学材料特集】東京応化工業30年に向け長期ビジョン、未来の価値向上に貢献へ

先端フォトレジスト

 東京応化工業は、2030年に向けた長期ビジョン「TOK Vision 2030」に基づき、さまざまな社会環境の変化に対し、電子材料を通じて未来の価値向上に貢献していく。2030年度(30年12月期)の在りたい姿として、売上高2000億円、EBITDA450億円、ROE10%以上を目指す。

 30年に向けた経営戦略として「電子材料分野の深耕と開拓」「新規事業創出」「財務基盤整備とその有効活用」「グローバル人材活用」「生産拠点リノベーション」「DXの推進」「社会的重要課題への持続的な取り組み」の七つの戦略を掲げる。これにより、設立100周年を迎える40年を視野に100年企業への継承にもつなげていく。

 21年度上期(1~6月)業績は、旺盛な半導体需要を背景に半導体用フォトレジストや高密度実装材料の販売が好調に拡大し、売上高が前年同期比13.3%増の648億800万円、営業利益が同43.7%増の95億7400万円と大幅な増収増益となった。

 上期のエレクトロニクス機能材料の種類別前年同期比増減は、KrFレジストが約20%増、ArFレジストが15%強の増、高密度実装材料が約25%増など主要製品がそれぞれ増加し、EUVレジストも台湾での売り上げが増加した。

 下期も半導体市場の堅調な推移が見込まれるため、通期業績予想を大幅に上方修正した。通期業績は売上高が前期比14.0%増の1340億円、営業利益が同23.2%増の192億円を計画し、営業利益・経常利益ともに2期連続の最高益更新を見込む。

 今年度は現中期計画「tok中期計画2021」(3カ年)の最終年度に当たるが、売上高・営業利益・ROEの目標値は全て達成できる見込み。

 今年度通期の設備投資額を期初計画比7億円増の98億円に増額修正した。研究開発拠点の相模事業所(神奈川県寒川町)のリノベーションや、国内外生産拠点での増産対応、次世代製品の品質向上に向けた評価設備導入などに充当する。

 ESG(環境・社会・ガバナンス)の取り組みは、i線レジストによるパワー半導体分野での脱炭素化貢献やバイオチップ製造用MEMS材料によるライフサイエンス分野での社会的価値の提供などにも力を入れている。