2021.09.10 【冷蔵庫特集】巣ごもりで大型タイプが好調

ステイホームの定着で大型冷蔵庫が好評だ。エコポイント特需からの買い替え需要顕在化も期待できる

ステイホームの定着で大型冷蔵庫が好評だ。エコポイント特需からの買い替え需要顕在化も期待できるステイホームの定着で大型冷蔵庫が好評だ。エコポイント特需からの買い替え需要顕在化も期待できる

 冷蔵庫はコロナ禍でステイホームが浸透する中、まとめ買いが増え、大型タイプが好調だ。内食化が進み、食材の新鮮保存へのニーズも強まっており、鮮度保持性能や冷凍技術も進化、顧客の困り事に応える特長をふんだんに盛り込んだ商品戦略が活発だ。巣ごもり需要で好調だった2020年度に続き、21年度も堅調な需要が見込まれている。

 冷蔵庫は買い替え需要に支えられ、毎年ほぼ安定した需要が見込める。20年度については巣ごもり需要で食材のまとめ買いが加速し、特別定額給付金の効果も後押しして、大型冷蔵庫が好調に推移して前年を上回る出荷台数となった。

 日本電機工業会(JEMA)のまとめによると、20年度の需要は前年比1.3%増の392万台となり、このうち401リットル以上の大型冷蔵庫は同4.4%増の180万台と好調だった。昨年度の場合、特に下期(10~3月)の伸びが顕著で、上期(4~9月)は緊急事態宣言下での外出抑制などが響き、前年を割り込んだが(前年同期比96.9%)、下期に入って前年同期比6.9%増と加速している。

 21年度に入ってからは、4~7月累計の出荷台数は減速気味だが、メーカーによっては通期で前年並み程度の堅調な需要を見込むところもある。

 冷蔵庫の買い替えサイクルは10年程度とされ、10年度にはエコポイント特需があったことから、当時購入された冷蔵庫の買い替えサイクルを迎えているため、今期もそれほど大きく落ち込むことはなさそうだ。

 新鮮保存や省エネなど、機能も進化

 冷蔵庫は大容量化が進むとともに、鮮度保持性能の進化や省エネ性能の追求、IoT化による使い勝手の向上など、より商品の利便性が高まっている。

 コロナ禍でステイホームが定着すること、調理をする機会が増えたことから、冷蔵庫の使用頻度もコロナ前に比べて大きく伸びているようで、省エネ性能向上が重要な開発テーマになっている。

 断熱性能の向上、人工知能(AI)やIoT機能を使った賢い省エネ制御など、各社工夫を重ねて、省エネ向上に力を入れている。

 内食化が進んでいることから、おいしさ志向と調理の効率化につながる機能も重視される。急速冷凍技術による新鮮保存で、食材のおいしさをより長持ちさせるほか、微凍結で解凍の手間を掛けない新鮮保存など、機能開発が活発だ。

 IoT技術を使って、食材の管理ができる冷蔵庫も登場、これによって買い忘れはもとより、食品ロス削減にもつなげるなど、環境配慮の視点まで広げた商品戦略にも力が入っている。

パナソニックの主力製品

使い勝手向上のWPXシリーズ2機種

 パナソニックは、冷蔵庫のフラッグシップモデルとして、「AIエコナビ」「ストックマネージャー」を搭載するなど、使い勝手がさらに向上したNR-F657WPX/F607WPXの提案に力を入れる。

 WPXシリーズは、スマートフォンのGPS機能による位置情報と連携した省エネ運転モードを業界で初めて採用したAIエコナビを搭載している。ユーザーの生活リズムや使い方に合わせ、賢く節電・しっかり冷やす。また在庫確認も可能とし、買い忘れ防止や食品ロス低減にも効果がある。

AIエコナビで賢く節電

 AIエコナビは、ユーザーの生活リズムや使い方を7種のセンサーから学習・分析して、予測結果と当日の使用状況に合わせて省エネ。3週間分のドア開閉と収納量の変化を記憶することで、曜日ごと、1時間ごとに分析・予測をして、予測結果と7種のセンサーで検知する当日の使用状況から、適切な運転に自動で切り替え、賢く節電することができる。

GPS機能による位置情報と連携した省エネ運転モードを、業界で初めて採用したAIエコナビ搭載のフラッグシップモデル「NR-F657WPX」

 加えて、スマートフォンの位置情報と連携した二つの省エネ運転モード(「お留守番モード」「お買い物準備モード」)を業界で初めて採用し、ユーザーの使用状況や位置情報をもとに、賢く省エネできる。

 二つの新運転モードは、専用アプリケーション「Cool Pantry」から適した運転を提案する。お留守番モードは、自宅から離れると自動で節電運転を開始する。お買い物準備モードは、まとめ買いに備えて効率的な運転を提案する。

 位置情報との連携で、より賢く節電しながら、しっかりと冷却できる。アプリで電気代の削減金額の目安も確認でき(グラフ表示)、省エネ行動につながる。

 重量から残量情報をアプリで管理できる「ストックマネージャー」を業界で初めて搭載した。管理したい食材は、「キッチンポケット」アプリに登録して、重量検知プレート(買い足し可能)に載せれば、IoT機能により残量の変動が自動で更新され、外出先からも確認することができる。在庫情報は家族で共有できる。

 設定した残量や利用期限の通知機能により、使い忘れによる食品ロスと、買い忘れによる献立変更を軽減できるため、日々の調理にも役立つ。

 鮮度保持性能も充実し、約マイナス3度の「微凍結パーシャル」は、食材別に約7日から約14日まで新鮮に保存でき、まとめ買いをしても、解凍の手間なく、鮮度よい食材で調理ができる。

 このほか、業務用レベルの急速冷凍を実現した「はやうま冷凍」、同社独自の「ナノイーX」搭載で全室脱臭・除菌が可能だ。