2021.09.14 【コンデンサー特集】日本ケミコン「HXUシリーズ」

HXUシリーズ

独自の複合封止構造

 日本ケミコンは、車載市場、産機市場、ICT市場などに向けて各種コンデンサーの開発を強化している。

 チップ形導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサー(ハイブリッドコンデンサー)の「HXUシリーズ」は、独自の複合封止構造により従来品比で2倍の長寿命化と40Gの耐振保証を実現した新製品。高信頼性が求められる車載電装、産業機器、通信基地局などに提案する。カテゴリー温度範囲はマイナス55~プラス135度、定格電圧範囲25~63V、静電容量範囲82~330μF、製品サイズはφ10×10ミリメートル、耐久性125度/135度8000時間保証の高信頼製品。

 複合封止構造は、通常はゴムのみを使用する封止材に、ゴムと樹脂を用いることで機密性を飛躍的に高める同社独自の技術。これにより、電解液蒸散量は従来シリーズ比で約50%まで低減し、高温環境下での長寿命化を実現した。

 車載オンボードチャージャー向け基板自立形アルミ電解コンデンサーは、AEC-Q200に準拠した3シリーズを開発した。いずれも定格電圧は450Vで、「KVAシリーズ」の耐久性は105度2000時間保証、「KVBシリーズ」は同105度3000時間保証、「LVAシリーズ」は同105度5000時間保証となる。カテゴリー温度範囲はマイナス40~プラス105度、製品サイズはφ25.4×25~φ35×60ミリメートルをラインアップしている。

 また、リード形では、小型・高容量化を実現した「KXQシリーズ」を商品化。従来品との比較で実装面積を20%削減できる(450V100μF品での比較)。耐久性105度1万時間/1万2000時間、定格電圧範囲400~450V、静電容量範囲47~180μF、製品サイズはφ16×20~φ18×45ミリメートル。AEC-Q200に準拠。車載オンボードチャージャーの小型軽量化に貢献する。

 リード形電気二重層キャパシター(EDLC)では、定格電圧を2.7Vに高めた「DKGシリーズ」を開発した。高電圧化に加えて従来品から最大20%の小型化も達成している。自動車の電動ドアロック解除やシフトバイワイヤー、電動パワーステアリング(EPS)、ドライブレコーダーなどのバックアップ電源に提案する。カテゴリー温度範囲はマイナス40~プラス65度、静電容量50F、製品サイズはφ18×40および50ミリメートルで商品化する。

 DKGシリーズは、従来同様、電解液にはシアン化ガス発生の懸念があるアセトニトリル(AN)溶媒を用いていない。ANは粘度が小さく、電気二重層キャパシターの電解液に用いることで低抵抗化が可能になるため、海外メーカーを中心に広く使用されているが、DKGシリーズはAN使用品と比較して同等以上の低抵抗化を実現している。