2021.09.13 日立、50年度カーボンニュートラル達成へ取引先約800社とCO₂削減計画を調整

日立グループが手掛けるドイツの洋上風力発電所向け送電システム

 日立製作所は13日、原材料の調達から製品の使用や廃棄に至る一連の活動について、2050年度までに温暖効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を達成する目標を策定したと発表した。世界が脱炭素を目指して一斉に走り出す中、従来の環境目標を更新し取り組みを加速する方針だ。

 日立は、取引する約3万社の中でも調達額や環境負荷の規模を加味して約800社を選定。具体的な二酸化炭素(CO₂)の削減計画について、各社と調整を進めていることも明らかにした。

日立製作所大みか事業所の太陽光パネル=茨城県日立市

 既に日立は、製品やサービスが顧客に提供されるまでの一連の活動「バリューチェーン(価値連鎖)」がもたらす環境負荷を低減する要請に対応。16年に「50年度までにバリューチェーンの二酸化炭素(CO₂)排出量を10年度比で80%削減する」という目標を発表しており、これを今回改定した格好だ。

 目標達成に向けて自社では、調達先企業と協力してCO₂の削減策を進めるほか、省エネルギー機器の導入を促進。21年度を目標にカーボンニュートラルの事業者数を、20年度の国内3カ所から国内外で13カ所に拡大する計画だ。

 さらに、温室効果ガスに社内独自で価格を付けて排出量削減につなげる取り組み「インターナルカーボンプライシング」の金額を8月に引き上げた。

 並行して、脱炭素社会づくりに役立つ事業や技術の開発も推進。例えば、再生可能エネルギーで発電した電力を長距離でロスなく送電する取り組みに注力するとともに、エネルギー効率の高い高速鉄道車両などの提供にも取り組む方針だ。

 脱炭素化を巡っては、マイクロソフトやシーメンスなどの欧米企業が供給網全体で高い環境目標を設定。東芝や富士通などの日本企業も野心的な目標を相次ぎ打ち出しており、気候変動問題への貢献力を取引先を巻き込んで競い合うステージに移行しつつある。