2021.09.21 【中部産業特集】日本ガイシ「エナセラ」

積極的にアプリケーション開拓、IoTデバイス向けに最適

 日本ガイシは、チップ型セラミックス二次電池「EnerCera(エナセラ)」について、デジタル社会を支える蓄電デバイスとして積極的にアプリケーションを開拓している。

 EnerCeraシリーズは、キャパシターとリチウムイオン二次電池の長所を併せ持つ超小型・薄型の二次電池。日本ガイシ独自の結晶配向セラミックス電極板を使用した半固体電池により、小型・薄型、高耐熱、高容量、長寿命といったIoTデバイス用電源に求められる特性を実現。車載用途や物流用途などでスマート化に貢献する。

 厚さ0.45ミリメートルと超薄型で5000回以上の曲げ耐性を持つEnerCera Pouch、高耐熱性が特長のコイン型のEnerCera Coinをラインアップ。

 車載用途では、105度の環境下でも動作する高耐熱性や小型・薄型といった特長を生かし、従来設置が困難であった過酷な環境でも電源として使える。例えば、自動運転化などCASEの進展に伴い路面情報をフィードバックするタイヤセンサーの開発が進んでいるが、耐熱性に優れるEnerCeraを使用すれば、既存の二次電池では難しかったタイヤ内部へのセンサーの実装が可能となる。

 ほかには、スマートキー向け電源への活用も想定している。携帯性を維持したまま超広帯域(UWB)通信や指紋センサーなどの機能を追加でき、利便性と安全性の両立が可能。既に数社で実際にスマートキー用途で採用が進んでいる。

 EnerCeraは無線給電にも対応し、エナジーハーベスト(環境発電)といった微小電力も効率的に蓄電できる。発電・給電技術と組み合わせたトータルソリューションを提案し、次世代のモビリティー技術の発展に寄与する。

 物流用途では、物流管理のIoTデバイスにEnerCeraを搭載することで、小型かつ電池交換が不要で廃棄物削減に貢献するメンテナンスフリー電源システムの提供が可能となる。太陽光発電で充電しながらGPSを駆動させることができるポジショントラッカーで貨物の動きを可視化したり、無線給電によって継続的に監視・記録できる貨物センサータグによりリアルタイムで異常検出が可能となるなど、管理の時間や手間を削減し、物流業務の効率化に貢献する。

 EnerCeraは22年度中をめどに125度の温度にも耐えられるラインアップの量産も予定。現在、世界の350社以上でサンプル評価が進んでおり、今後さまざまな分野への活用が期待される。