2021.09.22 【関西エレクトロニクス産業特集】大阪・関西万博関連会場周辺のインフラ整備など進行

大阪・関西万博の会場となる夢洲の整備後イメージ(提供・2025年日本国際博覧会協会)

健康がテーマの府・市パビリオンでは「アンチエイジング・ライド」が目玉のようだ健康がテーマの府・市パビリオンでは「アンチエイジング・ライド」が目玉のようだ

 新型コロナウイルス感染症の流行が続く中、準備が進む2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)。8月には大阪府・市のパビリオンのイメージが公表されるなど、全体像が具現化しつつある。会場の夢洲や周辺インフラの整備、さらには万博開催に併せた民間での施設整備も加速し、関西で万博への機運が高まっている。

 大阪・関西万博の会期は25年4月13日から10月13日までの184日間。実施主体となる2025年日本国際博覧会協会(会長=十倉雅和日本経済団体連合会会長)によると約2820万人の来場が想定され、経済波及効果は2.0兆円と試算されるという。

 8月27日時点で世界54カ国、5国際機関が参加を表明しているが、同協会は150カ国、25国際機関の招へいを目指す。

 万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の達成を視野に、SDGsの目標年である30年以降も見据えた取り組みを実施。さらに、「Society5.0」の実現に向けた実証の機会とし、会場全体にIoTや人工知能(AI)、ロボティクス、ビッグデータなどを活用、超スマート会場となる。

 計画では、大阪市臨海部に位置する人工島・夢洲の155ヘクタールの敷地を整備し、中心部にパビリオンエリアを配置。各参加国・国際機関の公式パビリオンのほか、日本からは国、自治体、民間企業・団体のそれぞれが出展参加する。

 府・市などによる「大阪パビリオン」では「REBORN」をテーマに、「健康」の観点から最先端の医療技術やライフサイエンス産業の展示・催事を行い、近未来への期待感を高める。

ライドが目玉

 同パビリオン推進委員会が8月に公表した検討状況によると、建物は2階建て、延べ床面積約8950平方メートル。ホールの吹き抜けを通るらせん上の通路「アンチエイジング・ライド」が目玉となるようだ。

 来場者が1階のエントランスに足を踏み入れると、アンチエイジング・ライドが眼前に現れる。ポッド型ライドに乗車し、通路を回遊、2階へ。道中で没入感のある自動診断を受ける。

 ライド後は2階の「REBORNレストラン」で診断サマリーを基にパーソナライズされた飲食物を楽しめる。屋内菜園からドローンが食材を採取・自動搬送し、実演ロボットが調理するなど、テクノロジーとオーガニックが組み合わされた食体験が提供される。

 2階の「REBORNコンテンツゾーン」では、「若返りミラー」「フィットネスルーム」「マイクロミスト体験」といったフィットネスプログラムやAIによるアンチエイジングアドバイスが体験可能。

 2フロアにわたる「ミライの病院」では、未来の医療ショールームで近未来に実現する医療施設や機器、サービスが展示されるほか、未来の医療SHOWでは将来の再生医療やナノテク、AI診断を題材とした演劇作品が提供されるという。

 会場周辺でインフラ整備計画も進行している。大阪メトロ中央線を延伸し「夢洲駅(仮称)」が新設されるほか、会場へのアクセス向上を図る関西国際空港の機能強化、北大阪地域と大阪都心部を直結するための北大阪急行の延伸、新大阪・大阪駅から万博会場までのシャトルバスルートの整備が実施される予定だ。

 広域的な整備として、大阪・名古屋間の所要時間を短縮する新名神高速道路の整備、市中心部と関西国際空港を結ぶ「なにわ筋線」の整備なども盛り込まれている。

 来場者の滞在が見込まれる都心部で、さらなるにぎわい創出や魅力向上を目指した整備も進む。大阪駅前で進行中の大規模複合開発「うめきたプロジェクト」2期地区開発は、24年夏に先行まちびらきを予定。約9万1150平方メートルの地区を対象に、総貸室面積約3万3000坪の大規模オフィスやホテル、商業施設、都市公園が整備される。

 宿泊施設の整備も加速。ヒルトンが大阪市中央区で客室数377室の「ダブルツリーbyヒルトン大阪城」を24年春に開業予定だ。

バリアフリー化

 一方、万博までに公共施設や商業施設、宿泊施設でバリアフリー化やユニバーサルデザインを実現するのが課題に。府は万博による国内外の観光客増加を見据え、20年に福祉のまちづくり条例を改正。一定規模の施設に対しバリアフリー化などを義務化しており、今後これらの施設整備のニーズも高まりそうだ。