2021.09.24 【九州・山口産業特集】長州産業水素関連事業を海外展開、米中で取り組み進む

岡本 社長

 長州産業(山口県山陽小野田市)は、水素関連事業をメインビジネスに育てていこうと海外展開で実績を重ねている。

 現在中国・上海と米国・ロサンゼルス港で計画が進んでおり、岡本晋社長は「米国は日本と温度感が違う」と話す。コンテナ取扱量全米1位のロサンゼルス港は2035年までに港湾施設内で使用するターミナルトラックのゼロエミッション化が決定され、環境汚染対策への逼迫(ひっぱく)度が高い。

 グリーンエネルギーにはさまざまな選択があるが、同港ではトヨタ自動車の水素利用の大型燃料電池トラック(FCV)の試験導入プロジェクトが進められている。今年3月には長州産業の太陽光水素製造装置も加わり、水素供給やFC発電機で貢献しようとしている。米国でも一部製造を計画中で、現地の標準規格を順守しながら米国内での生産を図っていく。

 規格や標準化について、岡本社長は「米国は既にある程度定まっていて過度な形にはなっていない。中国はこれからで、既存の世界標準の規格を採用してもらう流れを作っていきたい」とし、導入時から規格の総合的な認証なども視野に入れて取り組む。

 まだ水素が確固とした市場ではない中国では、さまざまなインフラ需要の中で環境配慮や将来性のある技術など、先進国の取り組みの先を目指す一つとして着目されている。

 長州産業では今後の成長を見込み、水素ステーションなどで技術的な貢献を目指している。中でも先進的な自治体が候補に上がっており、「SHiPS」(ソーラー水素iパワーステーション)の導入、実証の実績をつくることで次につなげていく。高圧水素は安全性が重視されるため、「長い目で見た耐久性など、日本人がやるメンテナンスは高い信頼性がある」(岡本社長)と、これを強みに採用を目指す。

 国内はまだ消費が限定されており、コストダウンが難しいが、岡本社長は「中国や米国などで事業がかみ合い始めれば、国内もいい影響が出て活性化するのでは」と期待している。