2021.09.24 【九州・山口産業特集】DELIA地産地消エネルギー管理システム開発

中村 代表理事

 DELIA(ブロックチェーンによる分散エネルギー情報基盤アライアンス、福岡市早良区)は、ローカルな仮想発電所(VPP)と次世代エネルギーマネジメントシステム(EMS)の創出に向けて、地産地消エネルギー管理システム「HyperDeMS」の開発に取り組んでいる。

 最小単位の地産地消システム(マイクログリッド)の環境として、電気自動車(リーフ)とEVパワーステーション、屋根に設置した太陽電池と蓄電池内蔵のハイブリッドコンディショナー、スマートメーターで構成。

 東海地方で2018年から実証を重ね、ブロックチェーン技術を応用した「MicroChainPRO」で地域内の電力状態をチェーン型台帳で記録し、トレーサビリティーを確保している。

 リーフを蓄電池として使うことがポイントで、再エネ率アップや防災・減災、EVの普及に向けたEMSとして、HyperDeMSは改ざんされないデータの収集から電力融通、クラウドでの処理も可能な見通しだ。

 大手企業ともEMSを共同研究中で、導入教育用の教材開発も行い、今年度はDELIA初の商品「MicroChain」の活用講習会を実施。9月には会員向けのセミナーも開催した。

 中村良道代表理事は「地域マイクログリッドのソリューションは木の葉と幹の関係」とし、内部に電源を持つことで系統の連携点が小さくて済むマイクログリッドは、地産地消に加えリーフを電池として利用することで、配電網を強化しなくても電力を増強できる。

 以前に福岡や横浜で実証を行っていた時は地産地消が主となっていたが、その後の東北の震災や北海道の大規模停電でにわかにマイクログリッドが注目されてきた。DELIAでは地域マイクログリッドの拡大に加え、HyperDeMSでエビデンスを残し、社会実装に向けたシステム構成の検討などに役立てる。

 強靭な分散社会を作っていくツールとしてプロトタイプはできつつあり、今後は複数の住宅を組み合わせた実証や、天気の同時記録なども視野に入れる。