2021.09.24 【九州・山口産業特集】九州総通局がアンケート

「九州における地方公共団体のICT利活用による防災・減災対策の現状」

 近年、九州では毎年のように大規模災害が発生し甚大な被害をもたらしている。九州総合通信局は、毎年「九州における地方公共団体のICT利活用による防災・減災対策の現状」についてアンケートを実施、20年度は6月から8月にかけて全233市町村中217市町村から回答を得て、結果を取りまとめた。

 屋外拡声器や戸別受信機など、住民へ一斉に防災情報を伝える同報系防災行政無線は、207市町村が整備済み。このうちデジタル方式(複信通話と、データやカメラ画像の伝送などが可能)は85.5%(177市町村)。アナログの14.5%(30市町村)のうち、24市町村が21年度までにデジタル方式への移行を予定している。

 防災行政無線以外の住民への伝達手段では、ホームページと緊急速報メール(エリアメールなど)が多い。今後整備したい手段としてSNS、一斉同報(登録制)メールが上がっている。

 避難所などの人が集まる場所では、あらかじめ特設公衆電話が整備されていることが多く、次いでWi-Fi設備が昨年の52市町村から60市町村へと伸びている。

 防災行政無線などの耐震化は65.1%(136市町村)が実施済みで、21年度までに実施するところを含めると68.9%(144市町村)になる予定。

 長時間停電時に通信機器を運用するための非常用発電機は、76.3%(164市町村)が整備済みで、22年度までに整備するところを含めると80.5%(173市町村)になる予定。

 災害対策を含む自治体クラウドの導入は、導入済みまたは21年度までに導入予定が40.3%。この中には「市町村単独で導入」「複数の市町村が共同で導入」と回答。一方、導入予定なしも37.9%で、クラウド導入以前に基幹システムは町外に設置しているとの回答もあった。検討中も22.0%と少なくないが、基幹系はクラウド化済みで防災部門のクラウド化を検討中との回答もあった。

 21年度分については今後アンケートを実施する予定。