2021.09.29 【ASEAN特集】上村工業ウエムラ・インターナショナル・シンガポール
寺岡 MD
顧客の要望にきめ細かく応える
上村工業は、コロナ禍におけるASEANの顧客要望に販売拠点、生産拠点できめ細かく応える。
マレーシアの生産会社ウエムラ・マレーシア(UM)も見ている販売会社ウエムラ・インターナショナル・シンガポール(UIS)の寺岡忠儀マネージングディレクター(MD)は「顧客の生産情報をしっかり得て、顧客が必要とするものを迅速に供給していくことが、これまで以上に重要になっている。既存の市場、顧客への対応とともに新規の市場、顧客開拓を積極的に進め、ASEANで増える需要、伸びる需要をいち早く捉えていくことも大切だ」と言う。
ハードディスク用無電解ニッケルめっきプロセス薬品など表面処理用薬品を製造するUMに22年中にクリーンブースを新設。産業用ロボットによるめっき薬品の自動充填システムを導入し、自動化に乗りだす。まずUMの薬品充填の10%を自動化し、マレーシアの新規プリント基板用薬品の需要に対応する。
上村工業の日本、台湾の工場からUMへの新たな生産移管も顧客の承認を得て21年度から徐々に増やす。既にUISがASEANで販売している粉体の装飾用、一部電気電子部品用前処理薬品の生産を台湾工場からUMへと移管準備中だ。受注~納期を2、3カ月から最短2週間に短縮するとともに在庫コストの削減も図る。
UISからタイの合弁会社サムハイテックスへタイ向けプリント配線板用めっき薬品販売の一部移管後に加速した市場開拓では、インドでコネクター端子のスズめっき液販売を拡大。パキスタンでも21年度から無電解ニッケル金めっき薬品の販売を始めた。
寺岡MDは「UISの21年度売り上げ目標を、新型コロナ感染拡大の影響を大きく受けた20年度ではなく、19年度実績比で10%増とした。1~6月はタイ向けプリント基板用めっき薬品、装飾用めっき薬品の販売が堅調に推移し、電子・電気部品のめっき加工が順調に伸びた。取り扱い商品の非鉄金属や金属塩、硫酸ニッケル、塩化ニッケルの工業薬品販売も増え、ほぼ目標を達成できた。大きな市場変化がなければ、通期は目標の30%増の売り上げを確保できそうだ」と話す。