2021.09.29 【ASEAN特集】岡谷電機産業オカヤ エレクトリック シンガポール
米山 社長
外資系の新規開拓取り組み強化
岡谷電機産業はシンガポールに営業拠点を構え、成長戦略として外資系の新規開拓の取り組みも強化。現地で技術者を育成したり、技術営業のできる人材を育てたりと、スペックイン活動を活発化させている。
販売会社「オカヤ エレクトリック シンガポール プライベート リミテッド」を設立したのは1995年。同社の米山剛社長は「ASEANをカバーする営業・サービス拠点として事業を進めている」と説明する。
13年には、タイのバンコク市に「オカヤ エレクトリック タイランド」を設立した。エアコンの一大生産基地として発展している同地で、主力製品であるエアコン用コンデンサーの需要をカバーしている。この2拠点を軸に、ASEAN地域での事業を拡大していく構えだ。
シンガポールではフィルムコンデンサーや電源用コイル、サージアブソーバー、ノイズフィルターなどを展開。エアコン、インバーターなどの産業機器が主な用途となっている。
コロナ禍で、海外出張といった国境をまたぐ営業が制約を受けている分、地域に密着した活動を強化する。具体的には、営業を担うディストリビューターとのコミュニケーションの時間が増えたことを活用し、教育の推進を通じて、盛業の強化、新規先の開拓も図っている。
受注は一時期落ち込んだものの、各社の操業がV字回復。足の長い注文も増えており、「反動の心配もあるにはあるが、できればこの水準が続いてほしい」(米山社長)。
成長戦略では、従来強みのある日系のエアコン、産業機器向けのフィルムコンデンサー、電源用コイルに加え、それらの重要顧客をベースに外資系の新規開拓にも取り組む。
日本で開発した製品を販売するだけではなく、例えば、中国系電源に対する低コストと高信頼性の両立など、「ユーザーが求めることを熟知して生かし、製品に落とし込んで供給できる」(米山社長)。それらを通じて顧客層の厚みを増していく方針だ。
原材料の高騰や物流の不安定さ、人件費上昇などが懸念材料ではあるが、「価格転嫁の交渉は比較的スムーズに進んでいる。高品質のものをきちんとした供給体制で届けることの意義を、お客さまにも理解いただいている」(米山社長)。