2021.10.08 「カーボンニュートラル」よりもっと先へCO₂吸い込むコンクリート、素材大手とゼネコンがタッグで

CO₂-SUICOM(スイコム)の概念図(提供=鹿島)

 電子材料や素材大手のデンカと、大手ゼネコンの竹中工務店、鹿島は8日、3社の技術を融合し、次世代のコンクリートを開発すると発表した。3社は二酸化炭素(CO₂)を吸収する特殊なコンクリートなどを手掛けている。その技術や知見を持ち寄り、CO₂排出量よりも吸収量が多く、環境にやさしい次世代のコンクリートを目指す。カーボンニュートラルの先をゆく「カーボンネガティブ」のコンクリートをうたう。

 さまざまな産業分野で温暖化ガス削減が急がれる中、建設分野では、特にコンクリートが課題の一つ。製造過程で大量のCO₂を排出するためで、逆にいえば、削減に取り組めば効果は大きいと考えられる。

 CO₂排出量を大幅に減らすコンクリートとしては、竹中や鹿島などが開発した「ECM(エネルギーCO₂ミニマム)」がある。また、CO₂を吸収するコンクリートとしては、鹿島やデンカなどは、世界で唯一実用化されている CO₂吸収型コンクリート「CO₂-SUICOM(スイコム)」を開発済み。

 さらに、デンカはCO₂と積極的に反応して化学的に安定した炭酸カルシウムを生成する、炭酸化混和材「LEAF」を手掛けている。

 そこで、この3社の技術を複合化し、発展させることで、おのおのの技術だけでは実現できないレベルを目指す。製造時のCO₂排出量より吸収量の方が多いコンクリートであれば、使用すれば使用するほどCO₂を削減できる形になる。こうした「カーボンネガティブ」を実現し、革新的な技術へ進化させていく構え。「『脱炭素』から『活炭素』へ」をうたう。

 「革新的な素材の開発力があるデンカさんと、ゼネコンが組み、次世代のコンクリートを開発したい」(鹿島)。高いレベルで汎用性のあるカーボンネガティブコンクリートの開発・普及をめざす。
(10月12日付の電波新聞・電波新聞デジタルで詳報します。)