2021.10.12 JOGMEC/三井物産 豪州西部でCCS調査ブルーアンモニア生産、輸入見据える

西オーストラリア州でのブルーアンモニア生産のイメージ

 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、オーストラリア西部の西オーストラリア州で、天然ガスの産出を終えた枯渇ガス田を活用したCCS(CO2の回収、貯留)の共同調査を始める。天然ガスから製造するブルーアンモニア生産の事業化に向けた調査。将来的には、現地での生産物を日本へと輸入する構想も見据える。

 共同調査するのは、三井物産の100%子会社で天然ガス生産を現地で手掛けるMEPAU社。

 MEPAU社は、オーストラリア最大の西オーストラリア州の州都パースから北に約350キロメートルにある陸上天然ガス田、ウェイトシアガス田の権益を50%保有する。日量25万立方メートル程度を生産する大規模ガス田で、同社はオペレーターとして開発を総括している。

 また、そばには数年前に枯渇したガス田もあり、こちらも100%の権益を有したままだ。

 構想では、ウェイトシアガス田から産出した天然ガスを化学反応させて得られる水素をもとにアンモニアを製造。その過程で排出されるCO2を回収した上で、枯渇ガス田側に圧入して貯留する。

 製造されたアンモニアは、CO2排出を低減させたブルーアンモニアと呼ばれる。ガス田の近隣や港湾などに製造プラントを設置し、天然ガスをパイプラインで送るなどして生産を拡大する計画だ。

 今回の調査では、枯渇ガス田にきちんとCO2を貯留できるかの確認や、CCSの有効性を検証する。数年かけた上で、ブルーアンモニア製造の事業化や日本への輸出が可能かなども検討を進める。

 太陽光発電など再生可能エネルギー由来の電力で製造するグリーンアンモニアは、脱炭素面でさらに環境性が高いとされる。ただ、「現状では、コスト面や大規模生産に難しさがあるという課題も浮上している」(JOGMEC)という。CCS推進グループ総括・国際連携チームの担当者は「ブルー水素やブルーアンモニアは、エネルギー移行期の中継ぎ的な役割を担う」と指摘する。

 JOGMECは4月に公表した「カーボンニュートラル・イニシアティブ」で、「脱炭素燃料・技術への取組強化」策の中核に、従来は対象でなかった、水素やアンモニアのサプライチェーンの構築や市場拡大に向けた事業を掲げた。

 また、アンモニアを巡っては2020年末からロシア・東シベリアで現地石油会社などと協力。水素や天然ガスをアンモニアに変換して日本に輸送する事業を計画し、事業化できるかの調査も開始している。