2021.10.15 テレワークで得られる自由とはe-Janネットワークス代表 坂本史郎氏に聞く

坂本社長

リモートアクセスサービス「カチャット」の利用イメージリモートアクセスサービス「カチャット」の利用イメージ

通勤がなくなり、睡眠時間や自由時間が増加。「発想力など頭の質が圧倒的に良くなった」とテレワークの効用を語る坂本社長通勤がなくなり、睡眠時間や自由時間が増加。「発想力など頭の質が圧倒的に良くなった」とテレワークの効用を語る坂本社長

 新型コロナウイルスの感染拡大を契機に一気に広がったテレワークだが、全国のテレワーク導入率は4分の1程度にとどまる(パーソルHD調べ)。e-Janネットワークスはコロナ禍前からテレワークに注目しリモートアクセスサービス「CACHATTO(カチャット)」を展開してきた。テレワークを推進するにはどうしたらいいか。坂本史郎代表に聞いた。

 ―なぜテレワーク導入が進まないのでしょう。

 坂本社長 多くの経営者は昔のやり方を変えたくない。生のコミュニケーションを重視するため、下から「自分は会社に行きません」とは言いづらい。

 ―テレワークツール「カチャット」とは。

 坂本社長 社外の端末から社内のシステムに安全にアクセスできるプラットフォームで、2003年に発売した。

 仕組みは国会図書館の貸し出し方式に例えられる。誰でも書棚の本を手に取れる市民図書館と違い、国会図書館は入館にID登録が必要。閉架式なので自由に本に触れない。読みたい本は申請して、司書が持ってきてくれるが、まさにカチャットがその方式だ。データが外に出ないよう安全性を担保しているのが特長。

 iPhoneの登場でカチャットの利用者数はぐっと増えた。現在70万ユーザー。グローバルな展開によっても変わってくるが、100万ユーザーも視野に入っている。

 ―テレワークになじまないとされる部署もあります。

 坂本社長 外勤に比べ経理・管理部門はテレワーク導入が難しい面があったが、カチャットはデータ流出を防ぐためのセキュリティーを工夫しているので経理データも安全に扱える。

 導入にはペーパーレス化も必要になる。当社でも去年の3月までは、経理と受発注業務が「紙でないと仕事ができない」部署として残っていた。請求書や注文書をファクスや紙でやり取りするからだ。

 そこで、経理業務に関してはクラウドシステムに全て移行して、社内の伝票類も全部オンラインにした。領収書も「写真でOK」と方針を変更し、全てではないがペーパーレス化できた。受発注業務でも紙で扱っていたものをオンライン化。

 去年の4月に緊急事態宣言が発令された時に決断し、5月には全部署で100%出社が不要になった。

 ―テレワークの効用を教えてください。

 坂本社長 現状では問題点を共有するだけで疲弊してしまうのが日本企業のスタイルになっている。テレワーク導入で通勤に要する時間が減った分、睡眠時間や自由時間がプラスになる利点がある。

 コロナ後の1年半、発想力など自分の頭の質が圧倒的に良くなったことが分かる。問題点に対してはブレーンストーミングやディスカッションを通じて解決手段を見つけることが大事だが、問題点を探す段階で疲弊してしまうと次に行けない。それがビジネスで「打開できない」ことの大きな原因だった。

 ―日本のビジネス環境について。

 坂本社長 精神論や前例主義など、日本独自の変なマナーがたくさんあり、非合理的な考えが残っている。リモートワークの普及やリモートネーティブの登場は、それらの価値観を見直す良いきっかけになると思う。
ITツールは完全ではないが、働き方の可能性を格段に広げてくれる。それによって得られる自由が確実にある。