2021.10.22 【カーエンターテインメント特集】ナビのエンタメ機能充実、高画質・高音質・快適操作が進化
市販カーナビゲーションシステムメーカー各社は、マイカー(自家用車)で快適に移動できるナビや周辺機器の提案を強化している。目的地まで安全に案内するナビの基本性能を高めるだけでなく、ドライブを楽しめるカーエンターテインメントにも力を入れている。緊急事態宣言が解除され旅行などの機運も高まる中、新型コロナ感染抑止の観点から自家用車での移動を検討する人も多く、今後は快適に楽しくドライブできるカーエンターテインメントへの関心も高まってきそうだ。
国内のカーナビ、カーオーディオなどのカーAVC市場は、世界的な半導体不足の影響を受け、安定した製品供給が難しい状態が続いているが、メーカー各社は部品調達を工夫しながら生産と販売を続けている。主要各社は「在庫切れなどを最小限に抑えながら、製品供給できるよう最大限の努力をしている」と口をそろえる。
最近は新車購入時にナビを装着する割合が増える半面、1台のクルマを長く乗る傾向で、車齢も伸びていることからナビの買い替えも増えつつある。一時期は市販ナビも新車販売時を狙った提案が目立ったが、この数年は約6000万台の既販車をターゲットにした製品開発も推進している。
現在、市販ナビメーカー各社がこだわるのがナビの基本性能を高めることに加え、エンタメや安全や安心を意識した機能を追加していることだ。純正ナビでは得られない使い勝手の良さや、機能の開発も各社がしのぎを削っている。
2021年の最新モデルの動きをみると、大画面と高画質、快適操作が特徴になり、より高音質で音楽が楽しめたり、動画コンテンツを高画質で楽しめたりするようなエンターテインメント機能が充実している。
ナビの大画面化進む
この4~5年でナビの大画面化は一気に進んだ。新型車も純正で8インチや9インチといった大画面ナビを採用するケースが増え、市販ナビも8インチモデルなどを用意するメーカーが増えた。これまでは8インチ以上の大画面モニターは車種専用設計にする必要があり、アルパインが中心になって展開してきたが、パナソニックがモニターをダッシュボードから浮き出すフローティング構造ナビを開発したことで9インチ、10インチの超大画面ナビを車種問わず装着できるようになった。
現在、フローティングナビは、パナソニックの「ストラーダ」F1Xシリーズに加え、ケンウッドの「彩速ナビ」も用意。アルパインも車種専用だがフローティングナビを出す。アルパインはフローティングのディスプレーオーディオを展開して差別化を図る。
フローティングで独走するパナソニックは、ストラーダF1Xシリーズの2021年モデルで7年ぶりにプラットフォームを刷新。スマートフォンのような画面操作を実現するとともに、映像だけでなく地図もHD(ハイビジョン)化し、唯一の10インチの有機ELパネルで高精細地図表示をできるようにした。
高画質で快適操作を売りにしているケンウッドの彩速ナビも大画面でHD化と操作性を高めている。パイオニアの「カロッツェリア・サイバーナビ」も地図と操作性にこだわる。地図のデザインや見やすさは各社が注力する領域でもあるため、注目したいところだ。
音楽、動画を楽しむ
エンターテインメント機能も各社が力を入れてきている。各社ともCDより高音質なハイレゾリューション音源への対応を進め、パイオニアやアルパイン、ケンウッドはナビだけでなく、スピーカーやアンプなども充実している。
後席用のモニターなども天つり型のほか、前席のヘッドレストに装着するプライベートモニターなども増え、移動中でも後席では動画コンテンツを高画質で楽しめるようにしている。パナソニックのストラーダは、唯一ブルーレイの再生ができる。大画面の有機ELディスプレーで高画質なコンテンツが楽しめるという。
エンタメではパイオニアがいち早くクルマのオンライン化に取り組み始め、Wi-Fi環境を車内につくることでインターネットのさまざまな音楽、動画コンテンツを楽しめるようにした。サイバーナビはNTTドコモのサービスと連携したことで、低価格でインターネットコンテンツを定額で楽しめる。
ドラレコ導入も進む
安心安全の観点からはドライブレコーダーの導入も進んでいる。単体のドライブレコーダーに加え、ナビ連動型の製品も増えており、ナビメーカー各社は高画質を前面に出す。最近はあおり運転の対応から後方視界の録画もできる2カメラ搭載のドライブレコーダーが人気で、ナビとセットにした提案も進んできている。アルパインは車種専用の電子ミラーも展開する。安心安全をキーワードにした製品開発は今後も進むとみられる。