2021.10.26 店舗で販売員のDX加速ヤマダと大塚家具が家電・家具業界初のサービス導入へ
「STAFF START」のサービスイメージ
ヤマダホールディングス(HD)が、ヤマダと大塚家具の店舗で販売員のデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)を加速する。リアル店舗での接客だけでなく、ECサイトの商品レビューやSNSなどへの販売員の投稿を通し、オンラインでの顧客接点につなげるサービスを導入することを決めた。
店舗スタッフのDX支援サービスを提供するバニッシュ・スタンダード(東京都渋谷区)の「STAFF START(スタッフスタート)」と、無料通信アプリ「LINE(ライン)」上でのオンライン接客を可能にする「LINE STAFF START(ラインスタッフスタート)」を導入する。家電と非家電の品ぞろえを充実させた大型店「テックライフセレクト」が対象。今年6月から新たに展開を始めた新業態店になる。
ヤマダHD広報は「(テックライフセレクトは)家電だけでなく、家具、インテリアなどセット提案しなければならず、スタッフのレベルが高い」とし、そこでの運用状況などを見ながら他の郊外店や都市型店に導入するかも検討していく。家電・家具業界での両サービス導入は今回が初という。
大塚家具では、旗艦店である有明本社ショールーム(東京都江東区)などから導入を進める予定。ECサイトの商品に販売員がレビューし、それを見た顧客からの問い合わせなどに対応することで、リアル以外での接点を増やすことを目指す。
スタッフスタートは、専用アプリを通じ、自社ECサイトやSNSなどで、販売員のオンライン接客を可能にするサービスだ。販売員一人一人の投稿コンテンツを経由し、EC売り上げやPVが発生したかが可視化されるため、本部側はそれらの実績をもとに店舗や販売員個人の評価に生かせる。
ラインスタッフスタートは、LINEの公式アカウントを販売員に発行し、LINE上でのオンライン接客を可能にするものだ。販売員が友だち追加した顧客に対して個別または一斉に、商品やコーディネートの紹介などを発信できる。ライブ配信も可能だ。
新型コロナ禍でEC利用が増えた。リアル店舗を軸としてきた家電量販店にとって、顧客との接点をどう増やすかが課題になっており、ECでも自社で購入してもらえる仕組みづくりが鍵を握る。ヤマダが取り組んだ今回のサービス導入は、その一手になる。
実際の導入はこれからで、実運用に至るのは数カ月先になるとみられる。LINEの公式アカウントを販売員に発行できるラインスタッフスタートについては、使い慣れている人も多いLINEがベースとなっていることもあり、「全店で活用できるようにしたい」(大塚家具広報)など意欲を示している。