2021.10.27 【JPCA Show特集】表面実装業界動向スマートファクトリーに注目

国内外で関心が高まるスマートファクトリー

 日本のものづくりは、労働人口の減少、熟練技術者の後継問題、新型コロナウイルス感染で浮き彫りになったBCP(事業継続)への対応などさまざまな課題を抱え、その解決策として「スマートファクトリー」が注目されている。

 「世界の工場」とされてきた中国も、人件費の高騰や若者の製造業離れ、コロナ感染の人的な感染拡大回避などから、ロボット導入やスマートファクトリーによる生産自動化に対する関心が今まで以上に高まっている。

 表面実装装置各社は、表面実装ラインにIoTを活用した「統合生産システム」をベースに、生産ラインや工場全体の製造装置を相互にネットワークで接続することにより大幅な生産性向上を実現するスマートファクトリーを提案する。IoT、ビッグデータ、AI、ロボットなどの技術によりコストの削減、商品の品質向上、労働時間や労働環境の改善など生産性を大幅に改善する。生産の段取り替え、装置の故障予知や、生産不良が発生した場合には、人を介さずに装置間で原因を突き止めて自動的に修正するなども可能になる。

 表面実装ラインは、これまでは主にクリームはんだ印刷機、実装機、はんだ付け装置(フロー、リフロー)、プリント基板検査装置で構成していた。最近は表面実装の前後工程まで自動化するため、前工程では実装ラインに供給する部品を保管する自動倉庫、自動倉庫から実装ラインまで部品を搬送するAGV(自動搬送車)、後工程では部品や異形部品を自動実装する異形実装機、はんだ付けロボットなども実装ラインに組み入れてLANなどでネットワークし、ソフトウエアでライン全体を自動化している。今後はローカル5Gも導入され、さらに進化していくことになる。このため各社は、他社との連携を広げている。

 また、日本ロボット工業会はSEMIと一体になり、表面実装ラインのグローバルM2M通信スタンダード「SEMI SMT-ELS(イーエルエス)」の普及に取り組んでいる。表面実装ラインの通信ルールを標準化してオープンな接続環境を構築し。メーカーの垣根を越えて、実装ラインにおけるネットワークを使用したM2Mの基板搬送、SMT実装ライン全体の生産機種切り替え、M2Mによる検査結果情報の受け渡しなどを実現し、実装システムもシンプルに構築しやすくなり、生産管理の容易化・変種変量生産への迅速対応なども可能になる。

 実装機各社は、スマート化をさらに進化させ、デジタルツインなどによるシミュレーション技術を導入し始めている。