2021.10.27 【Japan IT Week 秋/通信・放送Week特集】ミハル通信8K HEVCエンコーダー/デコーダー「ELL8K」デモ
8K HEVCエンコーダー/デコーダー「ELL(エル)8K」
超低遅延システム実現
ミハル通信は、開発中の超低遅延を実現する8K HEVCエンコーダー/デコーダー「ELL(エル)8K」をデモ展示する。
ELL8Kは8K映像信号を約150分の1まで圧縮し、圧縮した信号をIP網経由でデコーダーに伝送して、8Kテレビに表示する際にわずか50ミリ秒の超低遅延で表示できる。
同社は、超低遅延システムを実現するため、デコーダーと変調・復調の仕組みを独自開発している。
会場では、同社が独自開発した変調技術を使ったELL8Kで、同社ブースと都内特設会場の二つの離れた場所にいる演奏者の映像・音声を公衆回線で結び、8K映像を双方向で映像伝送を行い、別々の場所の演者の映像・音声をミックスして、一緒に演奏しているようなコンテンツを作る。それをクラウドで配信、自宅ホームシアターを想定した幕張メッセの会場でもライブを楽しめるよう、8Kライブ映像伝送デモンストレーションを行う。
ブース内に卵型形状のイス型スピーカーも設置。イスの内部にある24個のスピーカーにより、22.2chの高品質なサウンドも映像と同時に体験できる。このような音声多チャンネル伝送も実現できるのも今回の見どころの一つ。
ELL8Kにより、高精細な8Kライブ映像を超低遅延でエンコードできるため、ライブ会場にいなくとも、自宅ホームシアターでリアルタイムに近い8Kライブ映像を楽しむことが可能になる。
同8K映像伝送システムはエンコーダーとデコーダーの間にはIPネットワークでつながっている。このIP部分を第5世代移動通信規格5Gやローカル5Gを使えば無線伝送も可能で、有線よりも使用用途が広がる。
昨年の同展示会で初披露されたELL8Kは、エンコード前後の比較デモで約30ミリ秒という超低遅延の映像伝送を実現し、高い注目を集めた。
さらに、5Gを使った映像伝送にも力を入れており、既に5Gでの実証実験でも成功している。
昨年12月に秋田テレビとNTTドコモ東北支社とともに、5Gによる放送局・中継局間を想定した映像・音声・データの伝送に関する実証実験や、今年2月に東芝インフラシステムズとケーブルメディアワイワイローカルとともに、5Gミリ波による8Kライブ伝送実証実験や7月に京セラの協力で商用5G網を利用して実証実験するなど、5Gを用いた8Kライブ伝送実証実験に積極的に取り組んでいる。
同社は、ELL8Kを使うことで、5Gなどの一般公衆回線を使っても超低遅延で8K映像伝送を実現させ、今後、エンターテインメントや医療、交通インフラ、監視などさまざまな産業分野への活用に期待を寄せている。