2021.11.05 【東京インターナショナルオーディオショウ特集】国内外200超の機器が出展アナログレコード、若年層の関心高まる

写真1 アナログレコードがオーディオ熱に火をつけている

 きょう5日から7日まで〝2021東京インターナショナルオーディオショウ〟が東京有楽町駅前の東京国際フォーラムで開催される。昨年は中止となったが、38回目となる今年のショウには国内外200を超えるブランドの本格的オーディオ機器が出展され試聴できる。オーディオは一生をかけて楽しむ趣味。会場にはハイエンドモデルがそろい、事前予約登録を済ませたオーディオファンが詰め掛ける。コロナ禍でも好調なオーディオ市場は、ヘッドホン/イヤホンに加え、驚異的な伸長を見せるアナログレコードへの若年層の関心も高まり秋から冬へのハイシーズンを迎えて、さらなる活性化が期待されている。

堅調な推移のオーディオ市場

 グラフ1はJEITAがまとめているオーディオ関連機器の統計をグラフ化したもの。

 2020年の2月から5月までは落ち込んだものの、以降は回復基調となり堅調な売り上げで推移している。海外も同傾向で、〝新しい日常〟の巣ごもり生活が追い風になっている。

 製品的には、完全ワイヤレスイヤホン、ハイレゾオーディオ対応製品、4K8Kコンテンツ充実によるホームシアターへの関心が高まり、ストリーミングの定着、アナログレコードの完全復調やカセットテープの復権など話題は多い。巣ごもり生活の定着で、音楽や動画ファン層が拡大している。店頭にも客足が戻ってきている。

ヘッドホン/イヤホンが市場をけん引

 家庭で音楽や映画を楽しむことが定着。家族がそれぞれ好みのコンテンツを楽しむために、ヘッドホンやイヤホンは必需品になり、オーディオ市場をけん引している。日本オーディオ協会(JAS、小川理子会長)が14年6月26日に発表した新音質規格〝ハイレゾリューションオーディオ(ハイレゾ)〟の認知が広がったこともオーディオ堅調の要因で、音域(再生周波数幅)がCDの4倍以上、音の大きさの階調(精細さ)は256倍以上のハイレゾ定義をクリアした製品に付与されるハイレゾロゴマークを付けた製品が増え、ユーザーが安心して購買できる環境が整っている。

 JASは18年11月26日に、〝ハイレゾオーディオワイヤレスロゴ(ハイレゾワイヤレス)〟導入を発表。ワイヤードのヘッドホン/イヤホンに限られていたハイレゾロゴ付与が、ブルートゥースを使うワイヤレス接続製品も対象になったのもファン層に歓迎されている。

 ブルートゥース搭載製品は、イヤホンでは圧倒的なシェアで完全ワイヤレスイヤホンが定着。ブルートゥース搭載製品は、ヘッドホン/イヤホンの半数以上を占めており、市場をけん引。ブルートゥースSIGは「21年から25年にかけてブルートゥースオーディオストリーミングデバイスの年間出荷台数は1・5倍に増加する」と予測している。

驚異的なアナログレコードの伸長

 グラフ2は、日本レコード協会がまとめた10年間のアナログレコードの生産実績。20年はコロナ禍の影響で伸びが止まったが、11年の5倍強。グラフ3は昨年と今年9月までの実績をまとめたもので、今年はすでに昨年実績を上回っている。

 アナログレコードを楽しむ層は、ターンテーブル、トーンアームやカートリッジ、そして針先までこだわる本格的なオーディオファン(写真1)。近年は、ハイレゾ規格のおかげで、CDでは再生できないよい音に目覚め、さらに音質の高みを求めてアナログレコードを聴く若年層も増えてオーディオ市場を盛り上げてくれている。

 演奏家は、CDなど光メディア、デジタルネット配信、アナログレコードの三つのメディアで作品をリリースすることがグローバルで定着している。

 店頭のアナログプレーヤーの充実ぶりは、完全ワイヤレスイヤホンに引けを取らない。

拡大する音楽を楽しむ新様式

 世界中が厳しい情勢下にあるが、ミュージシャンのオンラインによるグローバルな活動が定着。日本ではリアルコンサートも再開されている。人類だけが享受できる文化的娯楽の音楽を、いつでもどこでも楽しめる環境を支えているオーディオ市場。新たな様式が浸透して、ポストコロナ時代には、さらなる市場拡大が必至だ。