2021.11.10 「ドキドキで光るイヤリング」女子大生起業家の開発をソフト・産機大手が支援
e-lamp.の実際の着用イメージ(講談社『with』2021年7月号掲載)
高校生当時から起業を手掛けていた慶応大学3年の山本愛優美(あゆみ)さん。いま、IoT(モノのインターネット)デバイス開発を、CADなどソフトウエア大手の図研と、産業機械大手FUJIなどの支援を受けながら進めている。目指すは「心のようすを可視化するイヤリング」。プロトタイプは完成し、近いうちに製品化できそうだ。
北海道出身で、高校時代から教育とエンタメを組み合わせたイベント・ゲーム企画や、若者向け起業コンサルティングなどを手掛けてきた山本さん。慶応大学環境情報学部で、もともと関心のあった人の「ときめき」を、数理心理学や工学などさまざまな側面で研究している。発案したのが、人の心拍などのバイタルサインを感知し、色を変えるイヤリングなど、気持ちを可視化できるツール。みんなが「心」を大切にする契機となるプロダクトを…といった思いからだ。光の色や明るさなどを変化させるのもので、まず最初の目標がイヤリングとなった。
試作を目指す山本さんは、秋葉原の電子部品の専門店などにも日参。そんな中、オンラインベントで接点のできた図研からの協力が実現し、図研が3Dプリンターなどで連携するFUJIからもサポートが得られることになった。
図研は、東京大学の桜井貴康名誉教授らが進め、IoTプラットフォームとして仕様などを公開する「リーフォニー」に参画している。一円玉大の大きさの基板で、省電力で動く、小さなコンピューターのようなデバイス。これを活用して試作を重ね、球状のキャンディー程度の大きさにできた。
バイタルデータは、コロナ禍の中で、健康関連のウエアラブル端末などでの応用が進む。だが、そのほかの活用は意外に少ない。図研の担当者は「企業では、ハードができてから活用を考える場面も少なくないが、何かを目指したいということころから設計・デザインをするという部分に、特に共鳴した」。FUJIの担当者も「試作作りなどに今後も協力していきたい」。
「コロナもあって、コミュニケーションのあり方も見直されている」(山本さん)。ほかにも、さまざまなアイデアがある。ライブ会場などの「盛り上がり」が間接的に分かったり、恋人や友人同士がゲーム感覚を入れつつコミュニケーションしたり、会議の際に心の動きが分かったり…。山本さんが進めるプロジェクトは「e-lamp.」。デビューする日も近そうだ。
(11日付の電波新聞・電波新聞デジタルで詳報します。)