2021.11.19 【はんだ総合特集】弘輝ハロゲンフリーソルダーペースト

高機能汎用ソルダーペーストHF1100

SMT向け高機能汎用品発売、低温実装用も投入

 弘輝は、特徴あるはんだ製品の開発により、はんだ事業をグローバルに展開している。

 SMT向けの高機能汎用(はんよう)ハロゲンフリーソルダーペーストS3X58-HF1100を発売した。「高ぬれ技術」と「フラックス流動性技術」を駆使し、ソルダーペーストでのはんだ付けにおけるさまざまな課題(はんだぬれ広がり、ICT特性、フラックス飛散、低ボイド、印刷性、タック時間、電気的信頼性、ハロゲンフリーなど)を解決する。

 意図的なハロゲン元素添加のないハロゲンフリー製品だが、新規に採用したフラックス設計により常温ではんだ粉の反応を抑制し、リフロー工程で効率よくはんだ溶融性を向上させ、良好な濡れ性を発揮する。実装現場での使いやすさを追求し、作業停止後の断続印刷性や、継ぎ足し使用における連続印刷性を、高いレベルで維持できる。

 新採用フラックス技術では、はんだ粉粒子周りに除去しやすい皮膜を形成するのに加え、継続して酸化の元となる酸素をトラップする二次酸化防止剤により、はんだ粉粒子の酸化を抑制、効率よくはんだの溶融性を向上させ、高いぬれ性を確保した。フラックスは、はんだ溶融開始時にフラックス残渣(ざんさ)が凝集するよう設計し、はんだ溶融時には液状化したフラックスを瞬時に集め、排出させてはんだ付けのさまざまな性能(はんだぬれ広がり、ICT特性、フラックス飛散、低ボイド)向上を実現した。

 新たな低温実装向けディスペンス用ソルダーペーストT4AB58-HF360(印刷用)、T4AB58-HF360D(ディスペンス用)を市場に投入した。同ソルダーペーストは、少量の添加で効果的に酸化還元作用を示す活性剤を選定かつ配合量を最適化することで、活性剤の添加量を減少させつつ溶融性や凝集性を確保することに成功した。従来よりも活性剤の添加量が少ないため、高い絶縁信頼性を示す。その結果、使用する溶剤の選択肢が広がり、連続・断続印刷時の版上でのペースト乾燥、不安定な印刷性能、部品搭載時・搭載後の部品保持力など従来の課題を解決する低温実装用ソルダーペーストを実現した。

 合金組成はSn(スズ)0.4-Ag(銀)57.6-Bi(ビスマス)。融点は138~140度で、耐熱性の低い部品や基板の低温での大気リフローが可能。Sn-Bi系合金に効果的に機能するフラックスを適用してフラックス残渣に電子が流れにくい状態をつくり、高い絶縁性を確保した。フラックスの乾燥を抑制することで連続・断続印刷性が向上し、タック力・時間が改善した。常温環境下において安定的でSn-Bi系合金に効率的に働く活性剤を選定しており、優れた溶融性・凝集性を示し、良好なぬれ性、低ボイド特性を発揮する。